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    メインネット稼働から約1年が経過したFilecoin(ファイルコイン)の状況

    Filecoin(ファイルコイン)は、2020年10月15日にメインネットを稼働して以来、約1年が経過した。そこで、今回はFilecoin(ファイルコイン)がどのようになっているのか、その状況をご紹介していく。

    Filecoinのネットワーク状況

    以下は、Filecoin(ファイルコイン)の統計情報を出しているサイトで、最も人気の高いFilfoxの情報だ。Filfoxからのデータをもとに、前回更新のFilecoin(ファイルコイン)の近況とマイニングパフォーマンスと比較してFilecoin(ファイルコイン)がどのようになったかをざっと見ていこう。なお、本記事で扱うデータは2021年9月27日時点のものになる。

    ネットワーク容量は10EiBの大台を優に超える

    関連する値:Network Storage Power

    Filecoin(ファイルコイン)ネットワークに提供されているストレージの総量は、9月初頭に大台となる10EiB(エクスピバイト)を超えた。メインネットのローンチから約11ヶ月での到達だ。10EiBという容量は、フルHDの映画を約29億万本収めることができるほか、ビデオ通話約685万年相当の容量に相当するという。

    Filecoin(ファイルコイン)ネットワークはまだ始まって1年経っていないことから、現時点で十分なストレージ容量を確保していると言えるだろう。

    マイナーのFILベースの平均収入は減少

    関連する値:24h Average Mining Reward

    1TiBあたりのストレージでマイナーがマイニングするFILは、約1ヶ月前の8月30日で、1日あたり0.0334FILであったが、9月27日時点では0.0278FILになっている。

    これはマイナーの増加を意味する。Filecoin(ファイルコイン)では、時間あたりでマイニングできるFILの数量が決まっているため、マイナーが増加すると、マイナーあたりのマイニング数量が減ることになるからだ。

    FILの数量ベースで見ると、マイニング参加者にとっては面白くない話かもしれないが、Filecoin(ファイルコイン)が世界的に人々から支持されていることがより明確になった。

    マイナーがマイニングをするためのコストは依然として大きい

    関連する値:Current Sector Initial Pledge, Cost of Sealing Sectors

    Filecoin(ファイルコイン)では、マイナーがマイニングをするためにはFILを調達してそれを担保としてデポジットしておく必要がある。調達する数量は、マイニングしたいストレージ容量に比例するようになっている。現在は、担保として32GiBあたり0.1526FILが必要になる。これは、1TiBで換算すると4.8832FILになる。

    また、マイニングのためにかかるコストは担保だけではない、Filecoin(ファイルコイン)ネットワークを利用するための手数料であるGASも含まれる。前述の担保とGASを含めた場合の1TiBあたりのマイニングコストは、現時点で1TiBあたり5.37FILである。日本円にして35,141円だ(9月27日時点)。

    マイナーは、マイニングをするために現状これだけ高いコストを払っている。多くのマイナーでは、マイニングしたFILを再度担保に充てることを行っているため、マイニングパフォーマンスの上昇がゆっくりになっている場合、この点に原因があるということを押さえておくと良いだろう。

    Filecoin(ファイルコイン)のエコシステムの状況

    ストレージの活用はまだ進んでいない

    Filecoin(ファイルコイン)のネットワーク容量は、10EiBを超え約11.5EiBと非常に大きいが、立ち上がったばかりのストレージネットワークが現段階で積極的に利用されているかと言われれば、そうではない。しかしそれでも、徐々に利用されていることがうかがえる数字もある。

    Filecoin(ファイルコイン)では、代表的なアプリケーションが集まったコンペティションSlinghotを開催している。Slingshotで認定された有効データ容量は、今年2月の時点で3.3PiBにとどまっていたのに対し、約10ヶ月後には26.5PiBにまで増加している。

    もちろん、Slingshotに集まったアプリケーションがFilecoin(ファイルコイン)を利用している全てではない。Filecoin(ファイルコイン)のネットワーク容量を踏まえれば利用が進んでいるとは決して言えないが、規模が大きくなりつつあることはわかるはずだ。

    BraveブラウザがIPFSに対応

    ネットワークの利用促進に向けた動きとしては、BraveブラウザのIPFS対応があげられる。Braveブラウザは、すでに3600万人のアクティブユーザーを抱えている。余計な広告が表示されない使い勝手の良さから、使ったことがある読者も少なくないことだろう。

    今までであれば、Webコンテンツへは”http://”や”https://”から始まるURLからしかアクセスできなかった。しかし、これは集中配置されたWebサーバーになっているため、国家などから検閲やアクセス遮断されてしまうリスクがあった。

    一方で、新たにBraveが対応した”ipfs://”から始まるURLでは、IPFS上へのコンテンツに直接アクセスすることができるようになる。”ipfs://”を使ってアクセスしにいくコンテンツは、実際にはあらゆる場所に分散保管されている。そのため、検閲やアクセス遮断が難しく、これらのリスクを回避することができるようになる。

    開発者コミュニティは着実な成長

    Electric Capitalが2020年末に発行したレポートによると、Filecoin(ファイルコイン)は2019年Q3から2020年Q3までの1年で開発者が100を超えるようになった。歴史を振り返ると、始まったばかりのプラットフォームは、開発者のコミュニティの強さが将来を左右するため、これは良い傾向と捉えることができるだろう。

    このように、Filecoin(ファイルコイン)が取り巻くIPFSの世界は確実に前進をしている。Filecoin(ファイルコイン)のような技術プラットフォームは、それが普及するまでに多大な時間を要するのが普通だ。これから、Filecoin(ファイルコイン)がどのように成長していくのか、温かい目で見守っていただきたい。

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