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米財務省、北朝鮮制裁関連でトルネードキャッシュを再び制裁指定

米財務省外国資産管理局(OFAC)は、大統領令の下、暗号資産(仮想通貨)ミキシングサービス・トルネードキャッシュ(Tornado Cash)に対して、新たな制裁指定を発表した。

OFACは今年8月にトルネード・キャッシュを制裁対象に指定している。制裁理由としては、北朝鮮のハッカー集団・ラザルス(Lazarus)によって盗まれた暗号資産のマネーロンダリングを支援しているというものであった。ラザルスは4億5500万ドル(約6億3,300万円)以上の暗号資産のマネーロンダリングをトルネード・キャッシュで行ったとされている。

トルネード・キャッシュは、イーサリアム(ETH)チェーン上で稼働し、暗号資産取引を匿名化するサービスだ。暗号資産の取引データを複数混ぜ合わせる(ミキシング)ことによって送金元の追跡を困難にし、利用者の匿名性を守ることを目的としている。

今回の決定は、地域の安定を脅かす不法な大量破壊兵器(WMD)と弾道ミサイル計画を推進する北朝鮮の能力を制限する米国の取り組みの一環であり、最近の北朝鮮の弾道ミサイルの連続発射を受けてのものであるという。

テロリズムおよび金融情報担当財務次官のブライアン・E・ネルソン(Brian E Nelson)氏は発表で、「この制裁措置は、北朝鮮の兵器計画の2つの重要な点を標的としている。収益を生み出すためにサイバー犯罪を含む違法行為への依存度を高めていることと、大量破壊兵器および弾道ミサイル計画を支援する物品を調達および輸送する能力である」と述べた。

トルネード・キャッシュは北朝鮮に金銭的、物的、技術支援、商品、サービスを提供、北朝鮮政府に財産と、財産を保有する人物を支援したとして、制裁が科されるという。

今回の発表を受け、トルネード・キャッシュの財産は引き続き凍結される。米国内にある、または米国人が所有・管理するトルネード・キャッシュ上の資産は全て凍結され、OFACに報告される。また、OFACが許可しない限り、トルネード・キャッシュの資産に関する取引は全て禁止となる。

OFACは2019年以来、70億ドル(約9,760億円)相当の暗号資産がトルネード・キャッシュのサービスを通じてマネーロンダリングされたと指摘している。

さらに、トルネード・キャッシュは今年6月のハーモニー・ブリッジ(Harmony Bridge Heist)から流出した1億ドル(約139億円)と、8月のノマド・ブリッジ(Nomad Bridge)から流出した780万ドル(約10億8,800万円)のマネーロンダリングにも利用されたと説明している。

画像:Shutterstock

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