2021.01.13
オバマ政権下で金融規制当局のトップを務めていたゲイリー・ゲンスラー(Gary Gensler)氏が、ジョー・バイデン次期大統領によって数日後に米証券取引委員会(SEC)の長官に指名される見通しであることが判明した。13日、ロイターが報じた。
報道によると、この件に詳しい2人の関係者がロイターに明かしたという。
ゲンスラー氏は2009年から2014年まで商品先物取引委員会(CFTC)の会長を務め、オバマ前大統領の任期1期目には2008年に発生したリーマン・ショックの対応に深く関わっていた人物だ。また、昨年11月からはバイデン次期大統領の政権移行に向け、金融政策の責任者を務めている。
同氏は2010年に可決されたDodd-Frank(ドッド・フランク)法の取りまとめに従事し、これによりCFTCはデリバティブの監督権を得ることとなった。
ゲンスラー氏の活動を受け、WALL STREET JOURNALは同氏について「数兆ドル規模のデリバティブ市場を管理する厳しいルールを制定した粘り強い規制当局者」と称している。
金融分野におけるスペシャリストで、なおかつ政権の中心人物としての実績もあるゲンスラー氏だが、暗号資産(仮想通貨)分野においても知見を兼ね揃えているようだ。
ゲンスラー氏は過去米屈指の名門校であるマサチューセッツ工科大学(MIT)において、過去にビットコインやブロックチェーンに関する授業を行っている。
そのため、米国の金融規制に深く関わり、さらに暗号資産に関する豊富な知識を持ち合わせている人物として知られている。
現在、暗号資産業界ではSECと暗号資産リップル(XRP)を発行するリップル社との間で繰り広げられている有価証券問題が波紋を呼んでいる状況だ。
ゲンスラー氏がSECの議長に就任した場合、まずこの有価証券問題に取り組むこととなりそうだ。
さらに、今もなお承認が待ち焦がれているビットコインETF(上場投資信託)の認可においてもゲンスラー氏の判断が必要不可欠であるため、暗号資産業界は早々から同氏の対応を注視していくことになるだろう。
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