2020.09.11
スイス議会で10日、暗号資産(仮想通貨)とブロックチェーン技術の活用に向けた新たな金融法・会社法の改正案が可決されたことがわかった。同日、swissinfo.chが報じた。
「ブロックチェーン法」と呼ばれる新たな法律は、2021年初頭に施行される見込みだ。
この法律は、話題となっているDeFi(分散型金融)だけでなく、デジタル化された企業の株式やその他の取引可能な資産に関してなども対象としている。
隣国のリヒテンシュタインでは現行法を改正して大規模なブロックチェーン法を制定しているが、スイスにおいては新たな法律を制定する形となった。
成長を続けるスイスのブロックチェーン業界は、この法案に歓迎ムードだ。
スイスブロックチェーン連盟のHeinz Tännler(ハインツ・テンラー)会長は、「来年の時点で、スイスは世界で最も先進的な規制の枠組みを持つことになります」とコメントした。
スイスでは、ここ数年で約900社のブロックチェーン企業が誕生し、約4,700人のスタッフが働いている。その中には、暗号資産銀行、資産運用会社、不動産ベンチャー、デジタル証券取引所などが含まれている。
これまで同国の銀行では、新たな形でのマネーロンダリングの波が来ることを懸念し、長年にわたり暗号資産やブロックチェーンの新興企業を警戒してきたという。
しかし新たなブロックチェーン法により、デジタル証券の交換や倒産企業から暗号資産を回収する際の法的根拠が明確になったため、銀行などからも一定の信頼性を得られやすい形となったと見ていいだろう。
スイスはブロックチェーン産業に積極的な国だ。
ブロックチェーン産業の中心地「クリプトバレー」と呼ばれるツーク州では、来年からビットコインなどの暗号資産で納税できるようになるなど、様々な取り組みを進めている。
一方で、ブロックチェーン企業が同国で銀行口座を持つことが難しい点や暗号資産関連の詐欺など、課題があることも事実だ。
新たな法律がブロックチェーン・暗号資産業界にどういった影響を与えていくのか、見守っていく必要があるだろう。
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