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誰でもわかる、暗号資産(仮想通貨) 第7章

イーサリアム解説

ビットコインに次ぐ暗号資産(仮想通貨)、イーサリアムの基礎と特徴とは?

どういう特徴が?ビットコインとの違いは?

 ビットコインの次に有名な暗号資産(仮想通貨)といえば、イーサリアムが挙げられる。全ての暗号資産(仮想通貨)がそうであるように、イーサリアムもビットコインを参考にして作られた暗号資産(仮想通貨)及びブロックチェーンである。

 なお、厳密にはイーサリアムとは本来は以下に説明するような特徴を持ったプラットフォームのことであり、そのブロックチェーン上で発行・利用されている暗号資産の名称はイーサ(ETH)である。イーサは主にプラットフォームとしてのイーサリアムを利用するための手数料などに用いられる。

 イーサリアムもビットコインと同じくパブリックチェーンであり、誰もがアク
セスできて耐改ざん性に優れているなどの特徴は同様である。ただし、ビットコインにはないいくつかの特徴を持っている。

 最大の特徴はスマートコントラクトという機能だ。これは、あらかじめ決められた条件を満たすと取引が自動執行される仕組みである。簡単な例としては「AさんがBさんに5ETHを送金したら、BさんはAさんに〇〇というファイルを渡す」といった〝契約〟をあらかじめブロックチェーン上に書き込み、それに従って処理を実行するというもの。これにより、イーサリアムのブロックチェーン上では単純なデータの記録だけではなく、データを使った複雑な処理が可能になっているのだ。

 また、イーサリアムはオリジナルの暗号資産(トークンと呼ばれる)を簡単に発行できる仕組みを持っている。特にICOやIEOといった資金調達手段において、企業や組織が簡単に暗号資産(仮想通貨)を発行するためのプラットフォームとしてイーサリアムは活用されている。イーサリアム上で発行されたトークンはERC20トークンと呼ばれる。

 さらにイーサリアムは、ブロックチェーンを活用したアプリケーション(= DApps)を開発するプラットフォームとしても利用されている。DAppsとしては、取引所機能を提供するサービスや金融関連、ゲームなど有名であり、日々多
くのDAppsが誕生している。DAppsはブロックチェーンの特徴を活かしたアプリケーションなので、非中央集権的で透明性が高いサービスに適している。

「契約処理の自動化」でブロックチェーンの可能性を広げた

 「契約」という単語を使うと難しいように感じてしまうかもしれないが、たとえば「音楽配信サイトに120円を支払うと、音楽を1曲ダウンロードできるという処理も契約の1種といえる。この契約が成立するのは、音楽配信サイトの運営者が決済機能やダウンロード機能を構築して、正しく処理しているからである。このような契約及び処理を、ブロックチェーン上で自動化するのがスマートコントラクトである。

 そもそもブロックチェーンは、「あらゆる取引履歴を記録管理する台帳」とし
て開発された。そして、企業などの中央集権的な管理者を必要とせずに、記録されたデータの正しさや透明性が担保されている点が革新的だとされている。

 イーサリアムは、単純な記録台帳であるブロックチェーンに、「契約の自動
化」という新たな機能を追加したブロックチェーンプロジェクトなのである。

 スマートコントラクトによってもたらされる多くのメリットこそが、イーサ
リアムをメジャーアルトコイン(ビットコイン以外の暗号資産のこと)に押し上
げた要因といえる。

 スマートコントラクトを使えば先に挙げた音楽配信サイトの例にとどまらず、企業間の取引においても安全な契約が可能になる。互いに、契約の履行について事前に調査したり、交渉したりする手間が省けるため、大幅にコストが下げられるのだ。

 また、多くの商取引において存在する仲介業者が不要となるため、コストや時間を削減できる点も魅力といえる。さらに中央集権的な管理者も不要となるため、特定の企業に依存したサービスなどを利用する必要もなくなる。このように、スマートコントラクトを活用することによって、ブロックチェーンを利用する手段が大幅に広がったのだ。

イーサリアムの主な特徴

Point.1 スマートコントラクト

ブロックチェーン上で契約を自動的に執行する仕組み。イーサリアム以後、スマートコントラクトを備えるブロックチェーンが次々と誕生している。

Point.2 トークン発行機能

イーサリアム上で誰もが簡単に新たな暗号資産(仮想通貨)を発行できる。特にICOにおいて活用されている。

Point.3 DAppsプラットフォーム

イーサリアムのブロックチェーン上で動作するアプリケーションが開発可能。

前回
『第6章 イチからわかるトークン』