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ブラジルとアルゼンチンが共通のデジタル通貨発行に向け協議を開始へ

ブラジルとアルゼンチンが、共通通貨の発行に向けて協議を進めることがわかった。23日、ロイターなど複数のメディアが報じた

ブラジルのルラ大統領とアルゼンチンのフェルナンデス大統領は23日に首脳会談を行い、両国で行われる貿易等で利用するための共通通貨を創設するために協議を行なっていくことで合意した。

今回の共通通貨の構想は、EU(欧州連合)で利用されているユーロのような統一通貨ではなく、あくまでも限定的な場面での使用を視野に入れたデジタル通貨としての発行となる見込みだ。そのため、両国の通貨であるレアルとペソは引き続き存続することとなる。

両国は共通通貨を通じて貿易等を行うことで、米ドルへの依存を弱めたい狙いがある。

報道によれば、今回の構想はアルゼンチン側が提案したもので、現時点ではブラジル側が協議に応じただけの状態となる。協議完了の期限等も設定されていないことから、共通通貨の発行は極めて不透明なものであると言える。

アルゼンチンのマサ経済相も21日のFinancial Timesとのインタビューにおいて、「中南米諸国にも今回の共通通貨発行に向けて同意を求めていく」と考えを示したものの、「過度な期待を持たせたくはない。これはラテンアメリカが歩むべき長い道のりの第一歩に過ぎない」と述べており、実現には長い時間を要するものとみられる。

両国における共通通貨発行の構想は今回が初めてではない。2019年にも同様の議題が持ち上がったことがある。

その際には、メルコスル(南米南部共同市場)の共通通貨を発行する構想も浮上。メルコスルに参加するウルグアイやパラグアイもこの考えに賛同している。

今回の構想においても将来的に参加国を募るものとみられ、メルコスルに限定することなく中南米諸国も呼びかけることが想定される。

一方で、アルゼンチンは何度かデフォルト(債務不履行)に陥ったことがあるため、この構想がユーロのような統一通貨になった場合にはブラジルにとって大きなリスクを背負う可能性もある。そうした背景から、貿易等の商取引における利用に限定した共通通貨の発行にとどまったとも考えられるだろう。

画像:Shutterstock

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