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中東・北アフリカ地域で暗号資産市場が急成長 チェイナリシスのレポートで判明

ブロックチェーン分析企業チェイナリシス(Chainalysis)は5日に発表したレポートで、中東・北アフリカ(MENA)地域の暗号資産(仮想通貨)市場が世界で最も急成長を遂げていることを明らかにした。

チェイナリシスはレポートの中で、「MENA地域はまだ小規模な暗号資産市場だが、2021年7月から2022年6月の間の暗号資産取引高は、5660億ドル(約82兆円)となっており、前年度より48%増加した」と説明している。

また、今年の暗号資産取引上位30ヵ国のうち、MENAに属する国としてはトルコ(12位)、エジプト(14位)、モロッコ(24位)が入っているという。貯蓄保全や、送金などのユースケース、暗号資産に関する規制の寛容化が進んでいることが理由として挙げられると分析している。

トルコとエジプトでは、通貨の急激な切り下げもあり、貯蓄保全のために暗号資産を活用する動きが強まっているようだ。

トルコリラは昨年、利下げに端を発した通貨危機の中で年初来の下落率44%を記録しており、今年に入ってからも30%近く下落した。トルコは1年間に1920億ドル(約27兆8,500億円)相当の暗号資産取引高を記録したが、前年比では10.5%の成長にとどまっている。

また、エジプトポンドは今年に入りドルに対して13.5%下落している。

チェイナリシスはレポートで、「エジプトの送金市場も重要で、エジプトのGDPの約8%は送金決済が占めている。同国の国立銀行はすでにエジプトと多くのエジプト出身者が働くUAEとの間にブロックチェーンベースの送金システムを構築するプロジェクトを開始している」と記載した。

北アフリカの暗号資産の普及は、政府の暗号資産に対する前向きな姿勢が要因として挙げられるという。モロッコでは2017年、中央銀行が暗号資産取引に「罰則と罰金」を科すとしたが、今年初めにIMFや世界銀行と提携し、イノベーションと消費者保護を重視した暗号資産に関する規制を策定した。同国における成長は、この政府の方針転換が影響した形だ。

一方で、チェイナリシスが昨年発表した暗号資産導入指数で20位だったアフガニスタンは、タリバンの規制当局が「暗号資産はイスラム教で禁じられているギャンブルと同一視」としたため、最下位に転落した。

アフガニスタンの暗号資産取引については、昨年11月から現在において、タリバン支配前の月平均6800万ドル(約98億円)から月平均8万ドル(約1,160万円)以下になったという。

また、暗号資産取引量が多い地域は南米が40%、北米が36%、中央・南アジアが35%、東ヨーロッパが22%と続き、日本を含む東アジアは4%と最も低かった。

画像:Shutterstock

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