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マウントゴックス管財人、再生債権の譲渡等の禁止に関する案内発表 弁済手続き大詰め

2014年に破綻した暗号資産(仮想通貨)取引所マウントゴックス(Mt.GOX)の再生管財人で弁護士の小林信明氏は8月31日、再生債権の譲渡等の禁止に関する案内を発表した。

2014年に発生した「マウントゴックス事件」は、暗号資産業界を驚愕させた事件だ。マウントゴックス社のサーバーがハッキングされ、当時の市場価格にして約500億円相当のビットコイン(BTC)が流出した。この事件でマウントゴックスは破綻し、12万7000人の顧客が被害を受けている。

マウントゴックスによる弁済については、昨年11月16日付けで東京地方裁判所から再生計画が認可決定した。その後、今年7月には「弁済に向けた手続きに関するご案内」を被害者に送付していたが、具体的な日時は発表していなかった。

今回の発表では、弁済を安全かつ確実に実施するため、裁判所の許可を得た上で、再生債権の譲渡、移転若しくは承継等、担保 設定、又はその他の方法による処分を禁止する期間を設定したことが明かされた。

譲渡等禁止基準期間は日本時間9月15日からで、再生管財人が相当と判断し、さらに裁判所の許可を得た基本弁済期限日までとなっている。現時点でこの基本弁済期限日については明らかになっていない。

譲渡等禁止基準期間の間は、再生債権届出システムの債権譲渡手続の申請機能、債権譲渡手続申請専用の再生管財人のメールアドレスへのメールの送付、その他一切の方法に基づく債権譲渡手続申請の受付を停止するという。

理由として、譲渡等禁止基準期間の間に再生管財人に対し、債権譲渡通知がなされた場合、弁済すべき相手かどうかを判断することができず、弁済の実施に支障があるからとしている。支障が出れば、希望する弁済を受けられない恐れや、弁済の受領時期が大幅に遅れる可能性があるほか、最悪の場合、弁済金が東京法務局へ供託される恐れもあるという。

小林氏は発表で、「再生債権者の皆様が、本件弁済の安全かつ確実な実施にご理解をいただき、思わぬ不利益を受けることがないよう、譲渡等禁止基準期間中に再生債権を譲渡しないようお願いいたします」と述べ、注意喚起を行った。

今回の発表を受け、弁済手続きが大詰めを迎えていることが明白となった。

マウントゴックスは約13万7000BTCを保有しているとされており、一斉に弁済を行うことで大きな売り圧が生じる可能性が指摘されている。この13万7000BTCは記事執筆時点で約3,850億円に相当する。

一方で、弁済が開始されたとしてもプロセスの完了に時間を要することや、現在の市況を踏まえて売却を行わない被害者も多数いることが想定されるとし、一連の動きに関するFUD(悪い噂)を否定する声も挙がっている。

画像:Shutterstock

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