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ミャンマー軍事政権、暗号資産とVPN接続を禁止する法案提出

ミャンマー軍事政権は、暗号資産(仮想通貨)とVPN(Virtual Private Network)接続を禁じる法案を提出したことがわかった。The Registerなどが報じた

暗号資産の禁止は、敵対するミャンマー民主派が設立した「挙国一致政府(NUG)」に流れる資金を制限することが目的とみられる。NUGは昨年12月、ステーブルコイン・テザー(USDT)を公式通貨として使用する決定をしている。

NUGは、ノーベル平和賞受賞者のアウン・サン・スーチン氏の支持者が実質的に運営し、ミャンマーの亡命政府と呼ばれている。NUGは現在、10億ドル(約1,140億円)規模の資金調達を行っている。その資金源の一部は、ミャンマー国内のNUG賛同派がインターネットを通じ、USDTを利用し献金しているとされており、今回の法案はその資金の流れを断とうというものだ。

一方、VPN接続の禁止は、「アラブの春」に代表される民主化運動の抑え込みの意味も大きい。ミャンマーは昨年2月の軍事政権発足後、最も人気のあるSNSの1つであるFacebookの利用を禁止した。民衆への呼びかけにFacebookが利用され、大きな運動になることを阻止したかったものとみられる。しかし、現在、国民はVPN接続を介しFacebookにアクセスしているという。

VPNとは、特定の拠点間の両端で暗号化と複合化を行い、通信内容を秘匿化し、プライベートなネットワーク空間を作りだす技術だ。これにより、インターネット回線を利用しても、専用線で繋いだようなプライベートな接続ができる。

これに対し、ミャンマー軍事政権が今回新たに提案したサイバーセキュリティ法案は、VPNの利用を違法化する内容だ。業界筋に送られた書簡によれば、VPNの使用に対して1年から3年の懲役を課すとされている。また、インターネット接続サービスプロバイダーは軍事政権当局の要求に応じ、利用者の個人情報(名前、住所、アクセス履歴など)を提供しなければならないと定められている。1月13日付けの書簡には、軍事政権の運輸・通信省のSoe Thein事務次官が署名を行った。

しかし、同法案はインターネットを利用したビジネス環境を大きく影響を及ぼす。多くのIT関連事業者や通信事業者をはじめ、特に金融機関は拠点間の通信のセキュリティーを確保するため、VPN接続を必然的に利用している。そのため、VPN接続の禁止はビジネス環境の悪化につながる可能性が高い。

画像:Shutterstock