月間暗号資産

  • HOME
  • NEWS
  • スイス中央銀行、大手金融機関とCBDCの実証実験成功

スイス中央銀行、大手金融機関とCBDCの実証実験成功

スイスの中央銀行であるスイス国立銀行(SNB)は13日、大手金融機関5社とホールセール型CBDC(中央銀行デジタル通貨)の実証実験を行い、成功を収めたと発表した。

ホールセール型CBDCは、民間金融機関が中央銀行に保有する伝統的な中央銀行預け金(準備金)を、分散型台帳技術(DLT)を使って進化させたデジタル版となる。ホールセール型CBDCは、中央銀行と中央銀行に口座を保有する金融機関との間の資金移動に用いられる。証券決済の効率化にもつながる可能性も注目されている。

今回の実験に参加した金融機関は、UBS、クレディ・スイス、ゴールドマン・サックス、シティグループ、ヒポティカーバンク・レンツブルク。10万~500万スイスフラン(約1,250万円~6億2,500万円)分の複数決済を即時に実行し、デフォルトの回避など、取引相手の信用リスクを削減できたという。

実験は昨年末に3日間に渡り実施。スイス証券取引所(SIX)も参加し、ホールセール型CBDCの発行と償還、CBDCを用いた決済、国内外の証券取引の決済などをエンドツーエンドで実行した。

この実験は、SNB、国際決済銀行(BIS)のイノベーション・ハブ(BISIH)、スイス証券取引所(SIX)の多段階に渡る共同調査プロジェクト「Helvetia」の一環として実施された。今回の実験は第2段階にあたる。

目的として、中央銀行がCBDCによる決済をどのように提供できるのか、運用、法律、政策の問題に焦点を当て、検証した。その結果、DLTベースと従来のシステム間の相互運用性の実現の可能性を証明することができた。法的にもDLTプラットフォーム上でCBDCの発行は可能ということが確認され、公開市場操作をはじめとする金融政策取引や国際取引の決済においてもデジタル資産プラットフォームで運用可能であることも確認された。

2020年12月の第1段階では、CBDCの発行、中央銀行決済システムと外部プラットフォームのリンクの構築に関して概念実証(PoC)を行い、法的には実現可能であることを確認。昨年12月3日に、BISがBISIH、SNB、SIXが共同でCBDCの実証実験を行い成功したことを発表した。

Helvetiaの第2段階の報告書によると、今後の課題として、市場と決済の複雑性が増大するため、異なるプラットフォーム間の相互運用性を高める必要性があること、即時決済を導入するための流動性の確保が挙げられた。

画像:Shutterstock