2021.12.22
ソニーグループの海外子会社から約170億円の資金が不正送金されていた事件で、米司法省は21日、同社社員の石井伶被告が不正送金後に換金したとされるビットコイン全額を押収したことを明らかにした。同日、日本経済新聞などが報じた。
記事執筆時点で約218億円程度の価値があるという約3880BTCに変換したとされる
ソニーの財産に対する権利を保護するため、カリフォルニア州南部地区で民事没収の訴状を提出。資金は、FBIの調査に基づき、2021年12月1日に法執行機関によって押収された。
石井被告は「大金を手に入れたかった。ビットコインなら発覚しても、凍結されないと思っていた」と供述しているという。
訴状によると、ソニー生命保険の社員であった石井被告は2021年5月1日付で不正送金した資金をビットコインに交換。同氏はソニー生命の金融口座間で資金を移動しようとした際に、約170億円を流用したとされている。
石井被告は、取引指示を偽造することにより、カリフォルニア州ラ・ホーヤにある自身の管理する銀行の口座に資金を移動。その後、その資金をすぐにビットコインに変換したという。
法執行機関はビットコインの転送を追跡し、資金が特定のビットコインアドレスに転送され、その後コールドウォレットに転送されていたことを確認することができたという。その結果、ビットコインのアドレスにアクセスするために必要な秘密鍵を入手。盗難に遭ったビットコインは全て回収され、保管されているという。
米国連邦検事代理のランディ・グロスマン氏は、「この事件は、FBI捜査官と日本の警察当局が連携して暗号資産を追跡した素晴らしい仕事の一例だ。犯罪者は、法執行機関から不正に得た利益を隠すために暗号資産に頼ることはできないことに留意してほしい」とコメントした。
今回の捜査はカリフォルニア州南部地区連邦検事局の主要詐欺・公共腐敗セクションと資産回収セクションが、司法省刑事局のマネーロンダリング・資産回収セクションとコンピュータ犯罪・知的財産セクションなどの支援を受け、事件解明に至ったという。
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