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米インフラ法の暗号資産に関して上院に続き下院でも修正案提出の動き

米下院議員の超党派は18日、先日バイデン大統領が署名したインフラ法案の暗号資産条項を修正するために修正法案を提出した。この法案は「Keep Innovation in America Act」(米国のイノベーションを維持するための法案)と題されている。

インフラ法案では、今後8年間で1兆2000億ドル(約137兆円)の国内インフラ投資を行うための財源として、暗号資産(仮想通貨)が取り上げられた。そのなかには暗号資産に対する新規制が盛り込まれている。その条項を巡り、暗号資産市場の発展を阻むものだという声が挙がっている。

修正法案はパトリック・マクヘンリー(Patrick Mchenry)議員、ティム・ライアン(Tim Ryan)議員など9名の議員の連名で提出された。

現行のインフラ投資・雇用法には税務報告の一環として、暗号資産関連の「ブローカー」に対して顧客の情報開示を求める条項がある。この「ブローカー」の定義が不明瞭であり、取引を行わないマイニング業者や、ウォレット提供者など、本来顧客情報を持たない事業者が対象になる可能性があると懸念の声が挙がっていた。

バイデン大統領のインフラ法案では、ブローカーを「他人に代わってデジタル資産の移転を行うサービスを定期的に提供する責任を負う者」と定義付けしているが、具体的な対象業種が明らかになっていないため、議論されている状況だ。

議員グループは「マイナーやバリデーター、ハードウェア、ソフト開発者、プロコトル開発者などはブローカーという立場ではない。顧客情報を収集していない上に、収集する理由も存在しない」と声明を出した。

また、報告対象となる「現金」の定義を拡大解釈し「あらゆるデジタル資産」を含む点と、米財務省に「デジタル資産」の定義を修正する権限を与えている点についても指摘した。

修正法案の要点は3つある。まず、ブローカーの定義を明確にすることだ。実際にブローカー業務を行っている者のみが報告義務を負うこととしている。

次に、ブローカーでない者の口座にブローカーがデジタル資産を送信する際、把握すべき情報を明確にすること。そして報告の対象を「あらゆるデジタル資産」とすることの再検討である。

今回の修正法案は8月にロン・ワイデン(Ron Wyden)上院議員とシンシア・ラミレス(Cynthia Lummis)上院議員が「ブローカー」の定義を狭め、マイナー業者やソフトウェア開発者を法案の税務報告義務から除外することを目的とした独自の法案を提出したことに端を発している。

なお、15日には両議員が暗号資産条項に関する修正案を提出したほか、その翌日にはテッド・クルーズ(Ted Cruz)上院議員も同じように修正案を提出している。

画像:Shutterstock