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米インフラ法案、バイデン大統領が署名 暗号資産ブローカーに対し報告を義務化

バイデン米大統領は15日、総額1兆2000億ドル(約140兆円)規模のインフラ投資法案に署名した。バイデン大統領はホワイトハウスで開かれた法案署名式で、「私たちは今日、ついにこれを達成する」と与党・民主党と野党・共和党の連邦議員に語った。米国内インフラ投資として数十年来の規模となる。

約5500億ドル(約62兆8,000億円)を今後8年間で、高速道路、道路、橋、都市の公共交通、旅客鉄道などの整備にあて、加えて清潔な飲料水の提供、高速インターネット回線、電気自動車充電スポットの全国的なネットワーク整備などにも連邦予算で取り組む。

財源の中で注視されているのが、暗号資産(仮想通貨)に対する新規課税の税収だ。それに加え、暗号資産のブローカーに取引の報告義務化が盛り込まれている。暗号資産の取り扱い業者への規制強化およびブローカーへの報告義務の拡大が実施される。今後、1万ドル(約114万円)以上のデジタル資産取引は、内国歳入庁(IRS)に報告することが義務づけられる。

法案の暗号資産に関する条項を修正しようとした上院議員の大半は最終的に賛成票を投じた。上院で可決された際、暗号資産推進派のパット・トゥーミー(Pat Toomey)議員は「非常に高額。広範囲で割に合わない」と声を上げ、「革新的な暗号資産経済を脅かす」と批判した。

また同日、暗号資産に関する条項を修正する法案を、シンシア・ルミス(Cynthia Lummis)議員(共和党)とロン・ワイデン(Ron Wyden)議員(民主党)の2名が提出した。暗号資産支持派として知られる2名は、現行法ではブローカーに対し、暗号資産取引を行うユーザーの税務情報開示を求める条項があるが、ブローカーの定義が曖昧であると指摘。そのため、マイニングやステーキング、ハードウェアウォレットの提供、プロコトルの開発に携わる企業および個人など、顧客情報を所持していないにも関わらず報告義務が課せられるという矛盾が生じると主張した。

修正案は、マイナーやステーカー、ウォレット提供者や開発者をブローカーの定義から除外し、実際に顧客情報へのアクセスが可能な取引仲介者のみがIRSへの報告義務を負うようにするという内容になっている。なお、暗号資産業界から見込まれる税収は280億ドル(約3兆2,000億円)とされている。暗号資産セクターへの課税は2024年1月から施行される予定だ。

画像:Shutterstock