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カザフスタン、暗号資産マイニング業者流入でエネルギー供給が逼迫

ケンブリッジ大学オルタナティブ金融センター(CCAF)によると、人口1900万人の中央アジアの国・カザフスタンはここ数ヶ月間で、米国に次ぐ世界第2位のビットコインマイニングの拠点となっている。CCAFのデータによれば、ビットコインネットワークの月間平均ハッシュレートシェアの18%以上をカザフスタンが生み出しているようだ。なお、米国は35%以上を占めている。

中国当局が暗号資産(仮想通貨)マイニングの禁止を発表後、中国のマイニング業者(マイナー)が陸続きであるカザフスタンに移動してきたことがカザフスタンのハッシュレートシェア拡大に起因している。例えば中国大手マイニング業者ビットマイニング(BITMining Ltd)は6000万元(約10億7,000万円)をかけてカザフスタンにマイニングセンターを設立した。

カザフスタンはもともと電力が安価で安定しているため、世界中から暗号資産のマイナーが集まってきていた。中国とは陸続きで設備移送も比較的楽なことから、中国からマイナーが多数流入してきたと言える。その結果、カザフスタンのエネルギー供給を逼迫する状況になってきている。

ロイターの報道によると、カザフスタンでは現在、税金やその他料金の支払いを避ける未登録の暗号資産マイナーがいるという。これらの「グレーマイナー」は、登録された「ホワイトマイナー」の2倍もの電力を消費していると考えられている。その消費電力は、グレーマイナーが最大1.2ギガワット、ホワイトマイナーが0.6ギガワットと推定される。これらを合わせた1.8ギガワットは、カザフスタンの総発電能力の約8%に相当する、

エネルギー担当副大臣であるMurat Zhurebekov(ムラト・ツレベコフ)氏は、カザフスタンの電力網に掛かる負担への対応は「これ以上遅らせることはできない」と述べた。同氏によると、近くグレーマイナーの電力消費を制限する法令を出す予定であるという。

今年6月、Kassym-Jomart Tokayev(カシムジョマルト・トカエフ)大統領は、マイニング機器が使用するエネルギーに対し追加税を課す法律に署名した。この法律では1キロワットあたり1テンゲ(0.00233ドル)の追加料金が課され、2022年1月から施行される予定だ。

ただし、カザフスタンはインフレを抑制するため国家が電力を人為的に低く設定している。したがって、できるだけ全体の電力価格を上げたくない事情もあり、政府としては大きな頭痛の種となっている。さらに、カザフスタンの電力は主に石炭に依存しており、世界の環境問題にどう取り組むべきかという問題も存在する。

画像:Shutterstock