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「中国版リーマンショック」懸念で暗号資産市場も大幅安

9月の相場は荒れると言われ、実際に金融市場は過去に何度も暴落を経験してきた。2002年の不良債権問題、2004年のハイテク株安、2008年のリーマンショックなどが挙げられる。

今年は何も起きないとも言われていたが、先日突如明らかになったのが中国の不動産開発会社大手「中国恒大集団(EvergrandeReal Estate Group)」の債務不履行問題だ。同社の株価は大幅下落。株式市場でもリスク回避の動きが強まり、ダウ平均株価が約2%安になるなど全面安の展開になった。

休み明けとなった21日の日経平均株価も600円以上のマイナスでスタートし、前週末比660円34銭(2.17%)安の2万9839円71銭で取引を終えた。

また21日(日本時間22日)から2日間にかけて開催予定のFOMC(米連邦公開市場委員会)では、テーパリング(量的緩和縮小)の年内開始が議論される見通しで、市場に与えるインパクトが懸念されている。

中国の不動産バブルを背景に最大手まで成長してきた中国恒大集団。しかし実際にはその資金繰りが急速に悪化していることが判明した。銀行融資や債券発行などで資金調達、不動産業界以外の多角化経営を邁進してきた反動と、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う景気減速の影響を受け、負債総額は3000億ドル(約33兆円)にまで拡大していた。

金融市場では「中国版リーマンショック」だという声も上がり、連鎖的な経営破綻が起きる金融危機に対する警戒感が顕著になった。23日と29日に控える「社債利払い」の履行が実施されるかどうかが焦点となっており、30日以内に履行されなければデフォルト(債務不履行)となる。

ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)市場もチャイナリスクの影響を受け20日頃から大きく下落した。

5万2000ドル(約570万円)を上回っていたビットコイン価格は一時4万500ドル(約443万円)以下まで下落。Bybitのデータによれば、24時間でデリバティブ市場においては17億ドル(約1,800億円)がロスカットされたという。

ビットコインの下落は中国の影響だけではない。米SEC(証券取引委員会)の暗号資産市場への締め付け強化も要因の1つとなっている。

米大手暗号資産取引所Coinbase(コインベース)のレンディングサービスが証券法違反であるとして法的処置の事前通知「Wells notice」を受けた。BlockFiやCelsiusなどといった米暗号資産レンディング大手もサービスに関して規制当局の監視下に置かれており、同サービスが未登録有価証券の販売としてみなされるかどうかが問題視されている。

また、韓国では今月24日から施行される新制度により、約40以上の暗号資産取引所が閉鎖されるという報道もされた。この新制度はマネーロンダリングの防止、サイバーセキュリティの確保などを目的としており、銀行と提携して利用者の実名口座を開設する必要がある。しかし、銀行は大手取引所以外とはパートナーシップを結ぶことを避ける状況にあり、多くの取引所が閉鎖となる見通しで、その影響が懸念される。

マイナスの懸念材料がいくつか見受けられる直近の暗号資産市場だが、エルサルバドル政府によるビットコインの押し目買い、また株式市場のリスクヘッジとしてXAU(ゴールド)と同様の役割を担うとの見方もある。アルトコイン市場においても、リップル社が主催する大型イベント・Swellを控えるなど、特定銘柄においてはプラス要因も散見される。

こうした背景を踏まえれば、警戒感を持ちつつも、節目となる価格帯で反発する可能性も十分に考えられる。

画像:Shutterstock