2021.09.10
米決済大手Mastercard(マスターカード)は9日、ブロックチェーンデータ分析企業のCipherTraceを買収することを発表した。
マスターカードはCipherTraceを買収することで、およそ900種類の暗号資産(仮想通貨)の取引データを分析する技術を取得する。
同社はプレスリリースで、CipherTraceの暗号資産に関する一連のソリューションとマスターカードのサイバーセキュリティソリューションを基盤とし、企業がリスクを特定するための透明性を高め、暗号資産に関する規制やコンプライアンスの管理に一役買うだろうと説明した。
マスターカードのサイバー・インテリジェンス部門の代表を務めるAjay Bhalla氏は今回の買収について「デジタル資産は日常的な支払いや受け取りといった経済活動を変革し、より包括的かつ効率的なものにするなど、商取引を再構築する可能性を秘めている」とコメント。
さらに、「デジタル資産のエコシステムが急速に成長していることに伴い、その信頼性と安全性を確保する必要性が生じている。我々の目的は、マスターカードとCipherTraceの相互補完的な能力を基に、これらを実現することだ」と続けた。
CipherTraceは詐欺やマネーロンダリング対策(AML)などといった、金融犯罪捜査ソリューションを提供している企業だ。大手銀行や取引所をはじめ、その他金融機関など7,000以上の企業らにソリューションを提供しているという。
今回の買収は、暗号資産分野におけるマスターカードの戦略の一環であり、顧客、加盟店、企業に価値移転方法の選択肢を増やすことを目的としている。
同社はこれまでにUphold、Gemini、BitPayとの提携による暗号資産カードの作成や、中央銀行発行デジタル通貨(CBDC)のテスト、サポートするためのプラットフォーム構築、ブロックチェーンやNFTなどの利用をサポートするプログラムなど、様々な取り組みを進めている。
なお、今回の買収は年内に完了する予定としているが、買収額など具体的な条件については明らかにされていない。
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