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米上院議員、北京五輪参加の米選手にデジタル人民元の使用禁止を要請

米国の複数の上院議員が、2022年の北京冬季オリンピックに参加する米代表選手に、中国のデジタル人民元を使わないよう警鐘を鳴らしたことがわかった。

19日、米国の上院議員であるMarsha Blackburn氏、Cynthia Lummis氏、Roger Wicker氏の3名は、米国オリンピック・パラリンピック委員会のSuzanne Lyons会長宛てに書簡を提出。議員らは「私たちは、2022年に開催される北京冬季オリンピックの前に、デジタル人民元を正式に導入しようとする中国政府の計画に懸念を表明します」と冒頭で述べ、米オリパラ委員会に、北京オリンピック期間中に米国人選手がデジタル人民元の受け取りや使用することを禁止するよう求めた。

デジタル人民元は、中国が開発を進めている中央銀行発行デジタル通貨(CBDC)だ。CBDCは世界各国が開発を進める中で、中国が先行しているのは既報の通りだ。

すでに中国の中央銀行である中央人民銀行は、2020年後半からCBDCの大規模な実証実験を開始。中国の主要都市でデジタル人民元を抽選により配布し、市民の利用を推進している。北京では6月の時点で、デジタル人民元対応のATMが市内に3,000台以上設置されており、入出金を行うことが可能だ。

今月16日にはデジタル人民元のホワイトペーパーも発表され、中国の国内では6月末時点でデジタル人民元を利用した取引総数は7,075万回にのぼり、取引総額は345億元(約5,854億円)に達したことを公表。またデジタル人民元のウォレットは、すでに個人用で2087万以上、企業用で351万以上開設されていることも明らかになった。そして、中国国民だけでなく、旅行者が中国を訪れた際にデジタル人民元のデジタルウォレットを使用できるようにすることにも触れられた。

実用化目前のデジタル人民元は、かねてから北京オリンピックまでに発行を目指していると言われ、各国の参加選手たちにも配られるという話も出ている。

今回、上述の米議員らは、中国政府はデジタル人民元に監視ツールを組み込み、利用するのではないかと危惧している模様だ。提出した書簡においても「米オリンピック選手は、デジタル人民元が、中国国民だけでなく中国を訪れる人々をかつてない規模で監視するために使用される可能性があることを認識すべきだ」とプライバシーの面で問題があることを警告した。

また選手だけでなく、オリンピックの観戦を目的に中国を訪れる人々がスマートフォンにデジタル人民元のウォレットを持ち、帰国後も使い続けることを期待している可能性も書簡で言及。デジタル人民元が世界の商取引にまで普及する可能性にも触れ、国際経済の面からも警戒している様子だ。

画像:Shutterstock