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ピカソの絵をブロックチェーンでトークン化 所有権を販売へ

デジタル資産に特化したスイスの銀行・Sygnumは、アート作品投資企業Artemundiと共同で、パブロ・ピカソの絵画をブロックチェーン技術でトークン化し、所有権を分割して販売することを明らかにした。15日、Sygnumが発表した。

発表によると、トークン化されて販売されるピカソの絵画は、世界的に有名な傑作「Fillette au béret(ベレー帽の少女/1964年作)」だ。ベレー帽をかぶった子供をキャンバスに鮮やかな色彩で描いたこの作品は、2016年にオークションハウスのUppsala Auktionskammareが248万ドル(約2億7,200万円)で落札している。

現在、同作品の評価額は、総額400万スイスフラン(約4億7,000万円)。今回、4000トークン発行され、1株所有するための最低申込額は5000スイスフラン(約60万円)からだという。販売は7月末を予定している。

また全てのトークンは、Sygnumのデジタル資産取引プラットフォームである「SygnEx」で売買取引される。取引は、Sygnumが発行するスイスフランに裏付けられたステーブルコイン(DCHF)を使用して決済されるという。

Sygnumはスイスの金融規制当局FINMA規制下にある銀行だ。同行によると、ピカソやその他のアート作品の所有権が、規制された銀行によってパブリック・ブロックチェーン上に公開され、投資家がアート・セキュリティ・トークン(AST)と呼ばれるアート作品の「権利」を購入・取引できるようになるのは、今回が世界で初めての事例とのことだ。

今回、ピカソの有名作品をトークン化し、所有権を分割して販売する目的について、Sygnumは「美術品市場は複雑で、参入するためには、深い技術的知識や個人的なつながり、数百万ドルの資金が必要になることが少なくありません」と、投資家の参入障壁やコストの面を指摘した。さらに、ブロックチェーン上で買い手と売り手を仲介者なしに結びつけることで、取引コストが削減され、幅広い投資家に市場を開放することが可能になったとのことだ。

なお、「Fillette au béret(ベレー帽の少女)」のトークン購入者は、絵画の一部を所有する権利を持つが、作品自体はスイスで保管され、鑑賞する権利は得られないという。

画像:Shutterstock