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フランスとシンガポールが国境を越えたCBDC決済に成功

フランス銀行(BdF)とシンガポール金融管理庁(MAS)は8日、CBDC(中央銀行デジタル通貨)を用いたクロスボーダー決済の試験運用に成功したと発表した。

今回の試験運用は、スマートコントラクトを活用し自動流動性管理機能を応用した初の例となる。

また今回、JPモルガンの暗号資産関連部門「Onyx(オニキス)」の協力のもと試験運用が行われた。試験運用で用いたフランスとシンガポールのCBDCは、それぞれJPモルガンが提供するネットワーク・Quorum(クオラム)を介して即時的に取引できる仕組みになっている。

複数のCBDC間の取引を瞬時に処理することが可能なこのネットワークはm-CBDC(マルチプル・CBDC)型とも呼ばれている。m-CBDC型のネットワークを活用することにより、フランスとシンガポールにとどまらず、各国間のクロスボーダー決済を瞬時に行うことが可能だ。

従来の金融システムでは、全てのクロスボーダー決済はコルレス銀行(中継銀行)を介して行われる仕組みとなっている。そのため、海外への送金には為替交換リスクがある上に、決済完了までに時間がかかってしまうという問題点が存在する。

今回試験運用に大きく貢献したm-CBDCネットワークは、このような問題点の解消に貢献し得る技術だと言えるだろう。

フランス銀行は発表内で、「(クロスボーダー決済における)仲介者が不要になれば、契約の取り決めや本人確認手続きの負担が大きく軽減される」とコメントしている。

また、シンガポール金融管理庁のフィンテック最高責任者は、「m-CBDCの試験運用は、金融インフラを分散化させるための大きな進歩だ」と述べた。

フランスとシンガポールはCBDCについて積極的な姿勢を見せている。

フランス銀行は2021年の秋までCBDCのサンドボックスプログラムを実施する予定としており、今年1月にも銀行感決済に関する実験を行なっている。今回の試験運用もこのプログラムの一環として行われた。

一方、シンガポールは先日、CBDCが抱える課題解決を目的としたコンペ「Global CBDC Challenge」の開催を発表。シンガポールはCBDCの発行について態度を明確にはしていないものの、中国のデジタル人民元開発に協力する方針を打ち出すなど、今後を見据えた動きを見せている。

画像:Shutterstock