2021.07.08
アルゼンチンのJosé Luis Ramón議員は5日、国内で働く労働者に給与の一部または全額を暗号資産(仮想通貨)で支払える法案を提出した。7日、同議員がTwitterで発表した。
今回、暗号資産での給与支払いの法案を提出した背景には、アルゼンチンの経済を悩ますハイパーインフレがあることに加え、法定通貨よりも暗号資産決済の需要が高いことが挙げられる。
アルゼンチンの5月のインフレ率は3.3%で、年間では21.5%を累積し、前年同月比のインフレ率は48.8%に達している。また、米ドルの購入は正式ルートだと毎月200ドルまで制限されており、65%の税金もかかるという。
また2019年以降、アルゼンチン政府は国内の輸出業者に対し、外貨で支払いを受ける場合、アルゼンチンペソに変換することを強制していた。インフレ率の高いペソで代金を受け取ることになり実質的に収益が減ってしまっていた。
上述のような制限があるため、多くのアルゼンチン人はDAIなどのステーブルコインを利用し始めている。
現地の暗号資産取引所であるSatoshiTango、Decrypto、Ripioの情報によると、DAIの取引量は今年に入ってからすでに少なくとも6倍に増加しているという。
アルゼンチンのRamón議員は同法案の提出理由として、労働者や自営業者の自律性強化と、外貨を伴わない形で給与や報酬の購買力の維持を図る近代的なメカニズムを提供したいとしている。
Ramón議員が公開した法案のプレビューによると、アルゼンチン政府が暗号資産として認可するものや暗号資産市場におけるガイドラインを定義しているという。
また、法案が可決した場合、給料を法定通貨のペソか暗号資産のどちらかで受け取ることや変更について、従業員が「絶対的な」決定権を持つと詳述している。
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