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北京の地下鉄でデジタル人民元の実証実験開始

中国人民銀行が発行を目指すデジタル人民元の実証実験が、6月30日に首都・北京の地下鉄で開始した。

デジタル人民元は、中国の中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)である。

北京市交通委員会の30日の公式発表によると、同市内の地下鉄など24路線と郊外鉄道4路線、428駅の自動改札で運賃の支払いにデジタル人民元の支払いが可能になった。

今回の実証実験では、デジタル人民元の実証実験に参加している中国工商銀行(ICBC)の口座を持っている人のみが利用でき、銀行口座と連動した同行のモバイルアプリをダウンロードする必要がある。

北京市交通委員会の幹部は、このデジタル人民元による決済サービスによって、乗客に多様な決済方法の選択肢を提供して、所要時間を短縮してもらいたいとし、「デジタル人民元を使った新しい旅行体験を国民に楽しんでいただくために、今後も様々な利用方法を引き続き推進していきます」と述べた。

北京の地下鉄は、一日の平均乗客数は1000万人を超えると言われている。今回の地下鉄における実証実験は北京市民の多くが利用する鉄道において、デジタル人民元がどのように機能するか課題を見つけるために行われた。

中国では北京に加え、蘇州の地下鉄でも29日から同様の実証実験を開始している。現時点で主な問題点は報告されていない。

北京では6月中旬の時点で、デジタル人民元対応のATMが3,000台以上設置されており、入出金を行うことが可能だ。また北京地方金融監督管理局は、620万ドル(約6億9,100万円)のデジタル人民元を実証実験に使うために北京市民へ配布することを発表している。

中国の中央銀行は、2020年後半からすでにCBDCの大規模な実証実験を開始している。デジタル人民元は、中国の主要都市で抽選により配布され、市民の利用を推進している。

現在、中国人民銀行は、デジタル資産の取扱いに慣れていない高齢者介護施設でのデジタル人民元の利用にも目を向けている。6月初めには、中国の大都市である成都の高齢者介護施設の一部でデジタル人民元を使ったサービスを提供し始めた。

画像:Shutterstock