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米FRB、CBDCを検討するディスカッションペーパーを公開予定

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は20日、中央銀行発行デジタル通貨(CBDC)を米国で発行する可能性について、今夏にディスカッションペーパー形式で公開すると発表した。

このディスカッションペーパーでは、デジタルドルを発行した際のメリットとデメリットに焦点を当てていると説明。さらに、CBDCの設計には金融政策や金融の安定性、消費者保護、法律、プライバシーなどの考慮すべき重要な問題が多数あり、幅広く様々な意見を募り、検討と分析が必要になると述べられた。

パウエル議長はビデオメッセージの中で、「FRBは米国の中央銀行として、通貨と金融安定、そして決済システムの安全性および効率性を促進する責務を負っている」とし、「我々は現在、決済、金融、銀行の世界を変えつつある技術革新を注意深く監視し、それに適応しようとしてきた」と語った。

同氏のビデオメッセージでは新興技術の活用およびデジタルドルの検討に対しポジティブな姿勢が見受けられた。

一方で、あらゆるリスク面を取り上げ、さらに「あくまでもデジタルドルはデジタル形式のドルであり、現物のドルに取って代わるものではない。現物のドルの補完機能の一部であることが重要だ」との発言を鑑みると、慎重な姿勢を崩していないことがうかがえる。

FRBは今後も極めて慎重に検討を進め、デジタルドルの発行は急がないものとみられる。

デジタルドルの研究は現在、ボストン連邦準備銀行とマサチューセッツ工科大学(MIT)によって行われている。共同で行われているこの研究は早ければ今年7月には成果が発表されるとしている。

FRBが今回CBDCに関する声明を出した背景には中国の存在が大きく映る。

中国人民銀行前総裁の周小川氏は20日、日本経済新聞が主催する国際交流会議「アジアの未来」において、現在開発を進めているデジタル人民元について言及。

開発の進行具合が好調であることを示し、国内の小売決済での利用を最優先にすると述べた。その上で、「小売決済の開発で効果が見られた場合、旅行者やビジネス関係者にとって少額決済の利便性が向上し、人民元の国際化が一段と進むだろう」とも語られた。

こうした中国の存在が基軸通貨ドルの存在を脅かすことに加え、国際社会がデジタル化に傾いている情勢を鑑みて、デジタルドルを検討する姿勢を内外にアピールすることになったと見ることもできるだろう。

画像:Shutterstock