FacebookのDiem、米ドルのステーブルコイン発行に計画変更

Facebookが主導し、発行を予定していた独自暗号資産（仮想通貨）Diem（ディエム）は、米ドルに裏付けられたステーブルコインを発行するために拠点を米国にシフトすると発表した。12日、Diemの運営母体であるDiem協会がプレスリリースで発表した。

2019年6月にLibra（リブラ）という名称でFacebookが発表した暗号資産プロジェクトは、当初から規制当局の激しい反発を受けた。初期の発表では、米ドルや日本円などの主要法定通貨に連動したバスケット形式の暗号資産を提案していたが、各国の政府や中央銀行は、法定通貨を弱体化させ、マネーロンダリングを容易にし、ユーザーのプライバシーも侵害する可能性があると懸念を表明していた。

またLibraを開発・発行するにあたり提携を発表していたVisa、Mastercard、PayPalなど複数の強力なパートナーがプロジェクトから続々と離脱し、Facebookは路線変更を余儀なくされていた。

各方面の圧力やパートナーの離脱などからLibraは2020年4月、バスケット方式の暗号資産発行を断念。単一の法定通貨に裏付けられたステーブルコインの発行に計画変更をした。またLibraのイメージを払拭するために、名称もDiemに改称した。

今後、Diemは暗号資産事業に友好的な米銀行Silvergateと提携して、米ドル建てのステーブルコインを発行する予定だ。具体的なスケジュールは明かされなかったが、同行が発行体となり、米ドル担保型のステーブルコイン「Diem USD」を発行するという。

Silvergateはカリフォルニア州で設立され、米連邦準備制度（FRB）のメンバーでもある。今後、Diem協会の子会社であるDiem Networks USは、Silvergateの協力を受け米財務省の金融犯罪執行ネットワーク（FinCEN）にマネーサービス事業者として登録し、暗号資産発行に向け本格的に動き出す方針だ。

SilvergateのCEOであるAlan Lane氏はDiem USDについて「我々は、米ドルを担保としたステーブルコインの将来性と、既存の決済システムを変革する可能性を信じています」と述べた。

またDiem協会のCEOであるStuart Levey氏は、「Silvergateは金融イノベーションのリーダーであり理想的なパートナーです。我々は、ユーザーや企業にとって安全で、決済をより早く、より安くし、ブロックチェーン技術を活用して、世界中のより多くの人々に金融システムの恩恵をもたらす決済システムを目指しています。この共通のビジョンを実現するためにSilvergateと協力できることを楽しみにしています」と述べた。

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