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米シティが米州開発銀行と共に国際決済手段を開発

米金融大手Citigroup(シティグループ)傘下のシティ・イノベーションが、米州開発銀行(IDB)と共同で米国と南アメリカ間の送金システム「LACChain Blockchain Network(以下LACChain)」の試験運用に成功したことがわかった。

発表によると、今回開発されたシステムはブロックチェーンを活用して米国からラテンアメリカやカリブ海地域へトークンの送金を実現できるという。また、送金時の為替レートや送金状況を含む送金取引履歴は常に追跡できる仕組みになっている。

LACChainはIDBが率いるブロックチェーンだ。今回の試験運用では、ワシントンにあるIDB本部からドミニカ共和国へ複数回送金を行い成功したと報告されている。

試験運用ではIDBがシティの口座にドル建の資金を預け入れ、それをトークン化しデジタルウォレットを通じて送金した。送金後、トークン化されたドル建の資金はシティが設定した為替レートでドミニカペソに変換されたという。

こういったクロスボーダー取引の拡充は世界的に大きな需要がある。

例えば、米国などに移住して働く出稼ぎ労働者たちが母国へ送金する際には、手数料の高さや着金までにかかる時間が遅いことなどがネックとなっていた。

しかしブロックチェーンを用いて送金することで、従来のクロスボーダー取引に比べ着金にかかる時間を抑えることができるだけでなく、手数料も安くすることが可能だ。

そういった点を踏まえると、多くの人々にとって需要があることから、今回のプロジェクトには大きな意味があると言えるだろう。

IDB研究所のCEOであるIrene A. Hofman氏は、「国際間送金には、公的な開発補助から仕送りの送金まで様々な用途がある。これが(ラテンアメリカの)利益獲得にとって非常に重要であることに疑いの余地はない」とコメントを残している。

このコメントからも、今回のプロジェクトの重要性が伺える。

香港やタイ、中国がCBDCの開発に進んでいる背景もあり、世界的にも暗号資産(仮想通貨)やブロックチェーンの認知度は高まっている。

シティグループがアメリカ大陸を縦断する決済システムを開発したことによって、さらに暗号資産やブロックチェーンの活用に対する注目が高まるだろう。

画像:Shutterstock