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FIN/SUMが閉幕 コロナ禍におけるDXに焦点が当てられる

16日〜18日にかけて行われた金融庁および日本経済新聞主催によるフィンテックカンファレンス「FIN/SUM2021」が閉幕した。

今年は麻生太郎副総理兼財務大臣や平井卓也デジタル改革担当相、黒田東彦日本銀行総裁、北尾吉孝SBIホールディングス代表取締役社長などといった豪勢な顔ぶれが揃い、フィンテックについて大いに語られた格好だ。

特に今年は新型コロナウイルスによって露呈されたあらゆる面でのデジタル化の必要性に焦点が当てられ、DX(デジタルトランスフォーメーション)に関する議論が非常に多く見受けられた。

さらに応用可能な分野として暗号資産(仮想通貨)やブロックチェーンに関するプロゲラムも複数設けられ、Huobi Japan代表取締役社長の陳海騰氏やNEM グループCEOのDavid Shaw氏らがスピーカーとして登壇した。

3日間のカンファレンスを通じて注目すべき発言は度々見受けられたが、なかでも日銀の黒田総裁が中央銀行発行のデジタル通貨(CBDC)に言及した点は意義のあるものと言えるだろう。

黒田総裁は2021年中に開始する予定としていたCBDCの概念実証実験について、「今春より開始する予定」と明言し、改めて準備を進めていることを強調した。

その上で、現段階では日本銀行としてCBDCを発行する計画はないと考えていると念押しした。

しかし今回、黒田総裁は「セントラルバンキング・アズ・ア・サービス(Central Banking as a Service)」に重きを置いて講演を行い、デジタル社会の到来を踏まえて中央銀行がどのように法定通貨を提供していくかという課題について触れていることから、今後も慎重にCBDCに関する検討を進めていくものとみられる。

また今回、麻生大臣もデジタル化の重要性について語っており、「デジタル世界は大きな潜在力を秘めている」と指摘した。

特に電子文書の改ざんを防ぐ電子署名やタイムスタンプの重要性について触れ、暗号化技術が進むことでこれらの領域における信頼性を高めると期待を示した。

さらに麻生大臣は「誰も取り残されないDXの実現」が極めて重要との認識を示し、「国籍や地域、年齢を問わず誰でも利用可能なことが必要不可欠」と語った。

現在、日本はデジタル化の遅れが指摘されているが、その中でもこういった議論が行われ、前向きな検討が進められているというのは非常に有意義なことだろう。

またデジタル化が進められていく上で、暗号資産・ブロックチェーンがどのように関わっていくのか、注目と期待が集まっていると言える。

画像:Shutterstock