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日銀、今春からCBDCの実証実験を開始 企業と連携し基本機能を確認

日銀が今春からCBDC(中央銀行デジタル通貨)の実証実験を開始することがわかった。20日、NHKが報じた

日銀は今回の実証実験を第1段階と位置づけ、民間企業と連携しながら実施するという。

内容としては、システム上に取引履歴を記録するための台帳を構築し、デジタル通貨の発行・流通における基本機能を確認していく。第1弾の実証実験期間は1年としており、その結果に応じて第2段階に移行する計画であるという。

日銀は昨年7月、CBDCの論点をまとめたレポートを公表し、10月に取り組み方針と実証実験の具体的な流れを表明。これまでに金融市場インフラにもたらしうる潜在的な利点や課題を研究する「プロジェクト・ステラ」を欧州中央銀行(ECB)などと実施してきたが、今後は民間ベースの決済手段としてもCBDC実現可能性を探る考えを示している。

レポートでは、CBDCは「誰もがいつでも何処でも、安全確実に利用できる決済手段であることが求められる」と説明。CBDCを検討する際には「『ユニバーサル・アクセス(Universal access)』と『強靭性(Resilience)』という2つの特性を備えることが技術的に可能かどうか検討することが重要なテーマ」としている。

なお、日銀は現時点でCBDCを発行する予定はないとする立場を変えていない。

今もなお感染が拡大している新型コロナウイルスの影響もあり、昨年から世界的にCBDCを検討する流れが拡大している。

すでにバハマやカンボジアといった国々がCBDCを発表しており、日本や米国などの後発組はその影響も鑑みながら検討を進めている状況と見ていいだろう。

また中国が開発を進めるデジタル人民元(DCEP)もいよいよ佳境に入ってきたことから、各国でその影響を懸念する声が相次いでいる。

日本銀行の元決済機構局長の山岡浩巳氏は以前、ロイターのインタビューに対し、日本がCBDCを導入する際には様々な課題があるため、実現には数年かかるとの見解を示した。

また山岡氏は、「銀行預金を侵食しないようにして、現金だけを代替できるように設計するのは至難の業だ」と語り、現金とCBDCの共存の難しさも導入の壁として立ちはだかっていると指摘している。

画像:Shutterstock