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IOSCO、報告書「暗号資産に関する個人投資家の教育」を公表

IOSCO(証券監督者国際機構・ International Organization of Securities Commissions)の代表理事会は22日、規制当局が個人投資家に対して暗号資産(仮想通貨)のリスクと特性に関する情報を提供する一助となることを目的とした報告書を公表した。25日、金融庁の公式サイトにも公開された。

IOSCOは世界の証券市場や先物市場を規制する連合体である。1974年に米国およびカナダが、ラテン・アメリカ諸国の資本市場育成のため、これら諸国の証券監督当局や証券取引所等を指導することを目的として発足した。

1983年に世界各国の国々も加盟できるように規約が改正され、1986年のパリにおける第11回年次総会で名称が現在のIOSCOに改められた。日本は1988年11月のメルボルンにおける第13回年次総会で、大蔵省(現・金融庁)が普通会員としてIOSCOに加盟した。

今回、IOSCOが発表した報告書は「暗号資産に関する個人投資家の教育」と題し、市場の流動性の欠如、ボラティリティ、投資額の一部または全損失、情報開示の不足、詐欺など、投資家にとって起こりうるリスクなどが35ページに渡って書かれている。

また報告書では、規制当局が個人投資家に対して、暗号資産への投資のリスクに関する教育資料を提供するために利用できる方法を説明し、以下の活動を対象とした4つの分野のガイダンスを示した。

  • 「暗号資産に関する教育コンテンツの開発」
  • 「認可されていない企業や詐欺を行う企業の公表」
  • 「投資家に情報を提供するための様々なコミュニケーションチャネルの利用」
  • 「関係者との連携による教育的資料の開発・普及」

近年、IOSCOメンバーは、取引、カストディ、清算・決済、会計、評価、仲介、投資ファンドなどの分野での暗号資産の使用について懸念を表明していた。

これを受けて、IOSCO理事会は、2019年と2020年の最優先課題の1つとして挙げていた。

IOSCOは2018年1月に、「ICOに関連する懸念事項に関する声明」を発表し、ICOに関連するリスク、特にオンライン流通チャネルを通じて個人投資家を対象とし、多くの場合、投資家の居住地の管轄外からの投資家を対象とする当事者に関するリスクに注意喚起した。また、ICOで配布される暗号資産はリスクの高い投資であり、悪用や詐欺に対して脆弱だと指摘した。

今回の報告に先立ち、2019年、教材開発の第一歩として、IOSCOの一部会員を対象に、暗号資産に関する実態調査を実施した。

IOSCO は、今回の報告書の資料や教育アプローチの全てが、メンバー各国の法域に適しているわけではなく、法的・規制枠組みとも一致しているわけではないとした。

そして加盟国が各法域に最も適した資料や教育アプローチを採用することを推奨した。

画像:Shutterstock