2020.12.07
国内暗号資産(仮想通貨)事業者12社(オブザーバー1社)は4日、暗号資産リップル(XRP)の保有者に対し行われるSparkトークンの付与について、発行元となるFlare Networksと合意に至ったと発表した。
合意条件は以下の通りだ。
なお、Sparkトークンの発行元であるFlare Networksの方針変更やその他の事由により方針変更となる場合もある。
上記の国内事業者12社は先月25日にSparkトークンの配布に関して共同声明を発表。その際、トークン配布に関して足並みを揃えていくと共に、Flare Networksと協議を進めていることを明らかにしていた。
Sparkトークンはリップルの分散型台帳技術であるXRP Ledger(XRPL)上にスマートコントラクトの実装を目指す「Flare Networksプロジェクト」において、ネイティブトークンとして用いられる予定の暗号資産だ。
すでに今年5月にテストネットワークが稼働しており、8月にはFlare NetworksによってSparkトークンの配布に関する発表が行われた。
Sparkトークンをめぐっては、海外取引所においても対応が続々と発表されている。
大手暗号資産取引所のBinanceは先月25日、Sparkトークンの配布に対応する方針であると表明。12月12日のスナップショット日の2時間前から入出金を停止するなど具体的な対応が発表された。
また今月6日には米国のCoinbaseが同様にSparkトークンの付与に対応する方針を発表した。Coinbaseは日本時間12月12日の午前9時時点におけるXRPの保有量に応じてSparkトークンの付与を行うとのこと。
今後、12日までに追加アナウンスをしていくという。
今回、海外取引所と国内取引所において対応の差があることが明らかになったが、これは金融庁や自主規制団体などが定める厳格な規則の下で手続きを行う必要があるためということは留意すべき点だ。
Sparkトークンを個人のウォレットなどでFlare Networksから直接受け取る際には金融庁などの管轄外になるが、国内取引所を通して付与される際には事情が変わってくる。
特に今回のケースでは、Flare Networksは取引所自体がSparkトークンを受け取るにしても申請を要求しており、さらに取引所がSparkトークンを売却し、ユーザーに保有分の還元を法定通貨で行う行為を禁じている。
具体的な例としては、2018年にビットコインキャッシュ(BCH)からハードフォークしたビットコインSV(BSV)の事例のように、BSVの概算価格とユーザーが保有していたBCH量に応じて日本円を還元するといったことができないということになる。
そうなると、国内取引所がSparkトークンに対応するためにはユーザーにトークンを配布するという手段しか残っていないため、例えSparkトークンの取引サービスが提供されないとしても金融庁が定める国内上場基準を満たす必要が生じてくる。
これらの事情によって事態が非常に煩雑化してしまっているのだ。
もちろんこれらは顧客保護の観点などから必要な手続きである。国内取引所に関してもSparkトークンの対応に関して前向きな姿勢を示していることから、続報を注視していくべきだろう。
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