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米国・英国・欧州の中央銀行総裁がCBDCの議論

11日から12日にかけて、欧州中央銀行(ECB)が開催した中央銀行についての年次フォーラムで、米連邦準備理事会(FRB)、イングランド銀行(BoE)の代表者が集まり、中央銀行発行デジタル通貨(CBDC)に関する取り組みについて議論が行われた。

各中央銀行の首脳は、CBDC開発に向けてのアイデアを積極的に模索していると表明した。

CBDCの発行に前向きと言われる欧州中央銀行のChristine Lagarde総裁は「デジタル・ユーロに関する調査結果が、今後数週間のうちに発表される」と述べた。また、「私たちはCBDC発行の最初の主要国になるために競争しているわけではない。もしCBDCがヨーロッパ各国にとって、より良い金融主権に貢献するのであれば、ユーロ圏のためにそれを探求すべきだと思う」と付け加えた。

また、発行時期については、「CBDCの時代はいずれ来るだろう」と述べ、「より速く、より安く、より安全な」国境を越えた支払いを容易にするためにCBDCを立ち上げようとしているが、現時点では、開発から発行まで、かなり手間がかかる」と早期の発行には慎重な姿勢を見せた。

一方で、米連邦準備理事会のJerome Powell議長は、世界の基軸通貨としての米ドルの地位を維持することに主眼を置いている。そのため、CBDC発足による金融・財政の変化について消極的な模様だ。

今回、Powell議長は「我々は、まだCBDCを発行することを決定していない」「米国と世界各国の関わりの中で、まだやるべきことがたくさんあると考えている」「また、米ドルは世界の主要な基軸通貨であり、CBDCが懸念される課題には細心の注意を払って取り組むことが重要だ」と、見解を述べた。

イングランド銀行のAndrew Bailey総裁はCBDCが発行された場合について「中央銀行が発行することで信頼性を国民に与えたら、テザーなど、ステーブルコインに取って代わる可能性もあるだろう」と述べた。

Bailey総裁はCBDCについては前向きな姿勢だが、一方で「ビットコインが本質的価値と呼ばれるものを持っているとは言いがたい」と述べ、その理由としてビットコインの高いボラティリティを指摘した。

7月、Bailey総裁は、「イングランド銀行は中央銀行としてデジタル通貨を発行すべきかを検討している」と表明した。

新型コロナウイルスの感染拡大が起きている状況で、デジタル通貨は非常に重要なテーマであるとの見解を示している。

CBDCの導入時期については、「個人的には数年はかかる」として、イングランド銀行が開発に取り組むと考えを披露した。

現在、3国の中央銀行の中では欧州中央銀行がCBDCへの取り組みをリードしている。

今回のフォーラムでLagarde総裁は、CBDCは 「現金の代わりではなく、現金を補完するものだ」という過去の発言を再確認した。

画像:Shutterstock