2020.11.11
2020年の暗号資産(仮想通貨)関連犯罪が昨年と比べ大幅に減少していることがわかった。10日、ロイターが報じた。
このデータは暗号資産分析企業CipherTraceによって明らかになった。CipherTraceによると、2019年の暗号資産関連犯罪の被害額は45億ドル(約4,740億円)であったが、2020年は10月末時点で18億ドル(約1,896億円)にとどまっているという。
同社のCEOであるDave Jevans氏はここまで暗号資産犯罪が抑止されていることについて、「取引所や暗号資産取引を行うユーザーが多くのセキュリティ手法を取り入れている」と語り、総じてセキュリティ能力の向上が要因として挙げられるとした。
また、「彼らはガイダンス受け、資金管理の安全性を高めている。そのため、大規模なハッキングは減少していくでしょう」と述べた。
この結果は暗号資産業界全体の努力が生んだ成果と言えるだろう。
一方で、全体では暗号資産関連犯罪の被害額が減っているものの、分散型金融(DeFi)関連の犯罪は増加したという。
2020年の暗号資産関連犯罪における被害額はハッキングだけで4億6800万ドル(約493億円)と、昨年の3億6000万ドル(約379億円)に比べ約30%増加した。
そのうち約20%にあたる9800万ドル(約103億円)がDeFi関連の被害額になるという。
特に今年8月のDeFiブームによって、各DeFiプラットフォームへの預入額が急増したことから犯罪者の標的になった可能性が高そうだ。
Jevans氏によれば、2019年のDeFi関連犯罪による被害額はごくわずかであったとのこと。
しかし被害額が急増した背景には、企業や個人がセキュリティーの検証を十分に行えていないにも関わらず急いでDeFi関連商品を市場に投入したことが挙げられるとし、「ハッカーも弱点がどこにあるか気づきやすかった」と同氏は分析している。
また、DeFiに関しては明確な規制があるわけではなく、本人確認を行うような手順もないことから、「マネーロンダリングの温床になっている」とも指摘した。
DeFiは今年に入ってから多くの注目を浴びたが、セキュリティの観点などから見てもまだ未成熟なものと言える。
しかしDeFiの有用性や将来性が評価されていることも事実で、今後さらに改善されていくことが期待される。
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