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豪中銀、CBDCを巡り急転 概念実証に向けプロジェクト開始

オーストラリアの中央銀行であるオーストラリア準備銀行(RBA)は2日、中央銀行発行デジタル通貨(CBDC)の可能性と発行の意味を探るプロジェクトを立ち上げたと発表した。

このプロジェクトはイーサリアムブロックチェーンの開発企業であるConsenSysや同国のCommonwealth Bank(コモンウェルス銀行)などと協力して行われる。主に分散型台帳技術(DLT)を用いたホールセール型(大口決済目的)のCBDCに関する研究を行うとのことだ。

今後、ホールセール市場参加者がイーサリアムベースで作成されたDLTプラットフォーム上で、資金調達およびローンの返済、決済等に使用することができるトークン化されたCBDCを発行するための概念実証(PoC)の開始を目指していくという。

今回の発表に際し、RBAのMichele Bullock総裁補佐は、「このプロジェクトではホールセール市場での金融取引の効率性やリスク管理、イノベーションに対してCBDCが与える影響を探ることが目的だ」と説明。

さらに、「このような市場でCBDCを使用することの是非は未解決のままだが、オーストラリアの決済システムにおいてホールセール型CBDCの役割が将来的にあるか否かを探っていくためについて業界のパートナーと協力できることを嬉しく思う」と述べた。

なお、このプロジェクトは2020年末までに研究を完了する予定で、2021年の上半期頃に調査結果を報告する予定としている。

これまでRBAはCBDCに対して慎重な姿勢を見せていた。

先月14日には、「Retail Central Bank Digital Currency: Design Considerations and Rationales」と題したリテール型(小口決済目的)CBDCの設計に関するレポートを公開しており、RBAは「リテール型のCBDCを発行する政策ケースはまだない」との見解を示している。

この理由としては、オーストラリア国内でもキャッシュレス決済が普及しつつも、依然として現金の使用率は高く、支払い手段として広く受け入れられているためと説明している。

今回のプロジェクトはあくまで大口決済を目的としたホールセール型CBDCの研究だが、世界情勢の変化も合間ってか、これまでの態度に変化の兆しが見えたことから、今後、小口決済に対応したリテール型CBDCの研究が行われる可能性も十分に考えられるだろう。

画像:Shutterstock