2020.10.02
欧州中央銀行(ECB)が「デジタル・ユーロ」の商標登録を申請していたことがわかった。1日、Bloombergが報じた。
欧州連合知的財産庁の公式ホームページによると、この申請先月22日にECBの法定代理人であるBock Legal社によって行われたという。
ECBがCBDCの発行に向け準備しているものとみられる。なお、商標登録はまだ承認されていない。
申請内容については、「コンピュータのハードウェア、ソフトウェア等」「金融、貨幣、銀行サービス」「プログラミングサービス」「電子商取引の分野におけるユーザー認証サービス」の4項目となる。
ユーロ圏では現在、CBDCの必要可否に関する議論が過熱しており、研究が進められている。
ECBのラガルド総裁は先月、「まもなくCBDCの導入について判断する」と述べており、近日中にタスクフォースによる調査結果を発表するとした。
また同氏は演説で、「ユーロシステムはこれまでのところ、デジタル・ユーロを導入するかどうかの決定を下していない。しかし、多くの中央銀行と同様に、デジタル・ユーロ導入のメリット、リスク、運用上の課題を探っているところだ」と述べ、慎重にCBDCに関する検討を行っている姿勢を見せた。
ECBは2019年から「中央銀行デジタル通貨における匿名性の調査」を開始し、研究や実証実験を進めている。
実証実験では、取引に関わる4つの関係機関のやり取りを設定し、資産転送を実施。結果については、ユーザーの身元情報や取引履歴などプライバシーを秘匿することができたと報告している。
ただし、スケーラビリティなどの課題があるとも指摘した。
現在、世界各国でCBDCの導入が検討されており、中でも中国は大規模な実証実験を行うなどデジタル人民元(DCEP)の発行に向けて準備を加速させている状況だ。
またフランスやブラジル、韓国といった国々においても準備が急ピッチで進められており、今後ますます開発競争は激化していくものとみられる。
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