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MUFG、独自デジタル通貨「coin」を発行

三菱UFJフィナンシャル・グループの亀沢宏規社長は13日、毎日新聞の取材に応じ、独自のデジタル通貨「coin(コイン)」を2020年度下期に発行する方針を明らかにした。

発行にあたって、飲食店紹介サイト「ホットペッパーグルメ」また宿泊予約サイト「じゃらんnet」などを運営するリクルートグループと共同で、リクルートのサイトに加盟する店舗でスマホアプリ決済を始める予定だ。

三菱UFJ銀行は2020年内に、「リクルートホールディングス」とcoinを発行する新会社を設立し、スマホアプリ決済分野に参入する予定だという。

金融の路線を転換し、オンラインで宿泊予約やグルメサイトを運営するリクルートと組むことで、利用者の拡大を広げる狙いだ。

また、政府の規制緩和で銀行口座以外への給与振り込みが想定されている中、銀行ではなくIT企業が給与の受け皿になりかねない可能性もあり、三菱UFJ銀行のcoin発行計画の裏側には、メガバンクが抱く「銀行離れ」への危機感がありそうだ。

昨年11月に開かれた三菱UFJフィナンシャル・グループの決算記者会見で、前社長の三毛兼承氏(現取締役代表執行役副会長)は「デジタル化の進展に伴い、金融というフィールドに新しい参加者がやってきている」と強い警戒感を示した。

coinを発行する新会社は、リクルートが51%、三菱UFJが49%を出資する。

過半をリクルート側が握り、通貨名から同行の英語表記の一部である「MUFG」を外したことからもわかるように、三菱UFJは決済システムを支える黒衣役を担う形となる。

決済事業者が乱立する中で、後発組のコインに勝算はあるのか。三菱UFJの関係者は、安全性で「一日の長がある」と自負する。

しかし、スマホアプリ決済分野にはIT大手などがすでに続々と参入してシェアを急拡大させており、苦戦を予想する声もある。

亀沢社長は毎日新聞の取材に際し、coinの発行について「色々あって遅れた面があるが、新型コロナウイルス問題もあったのでタイミング的にはちょうど良いかもしれない」と述べた。

今回、新会社としてタッグを組むリクルートはサイト加盟店が約100万店舗あり、「様々な店や若いアルバイトなどの顧客接点を持っている」と協業に期待を示した。

また、「オープンに皆が使える形で考えている」と述べ、将来的にはリクルートのサイト加盟店以外でも利用できるようにする考えを示した。