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地域仮想通貨 飛騨高山編

月刊仮想通貨10月号vol.19 2019年8月21日(水)発売号より

毎週木曜日に更新予定となっております。

前回(地域仮想通貨 かすみがうら市編)

◆飛騨高山 さるぼぼコイン

利用店舗、決済額ともに日本最大規模を誇る地域電子通貨が、岐阜県の中山間地域にある。同県飛騨高山地域で使える「さるぼぼコイン」で、山あいに囲まれた地域の経済を支える。開発・企画元の飛騨信用組合(岐阜県高山市)は、決済アプリの生活アプリへの移行を目指すなど、模索を続けている。

さるぼぼコインの名前の由来は、飛騨高山地域に古くから伝わり、猿の赤ん坊を模した郷土人形「さるぼぼ」にちなむ。黄色と黄緑色を基調とした同コインのキャラクターはその名の通り、可愛らしい。街の至る所に、キャラクターをあしらったポスターが掲示され、観光客らの目を引く。
「人口減少が進む地域に元気を与える」という飛騨信組の使命感から生まれたさるぼぼコイン。2017年12月に運用が始まり、利用店舗数は約1000店、利用決済額は8億円に上るまでに成長。8000人を超えるユーザー数は地域の総買い物人口の1割を占める割合で、決済インフラとしての機能を果たす。
同信組の山腰和重専務理事(61)は「観光シーンでの利用推進などで、課題はある」と謙遜するが、体を成す地域電子通貨は全国でも少ないことを加味すると、さるぼぼコインは成功事例だろう。言わば、この領域における「ファーストペンギン」と言っても過言ではない。
二次元コードによる簡単決済をはじめ、納税支払いへの応用や、現金化時の低い手数料など…。同信組は、先駆的に地域電子通貨のシステムを導入してきた。18年8月に、中国のオンライン決済プラットフォーム「Alipay」と提携し、さるぼぼコインとAlipayを並列した二次元コードで利用できる事業に着手すると発表。同11月には、日本で初めて地域電子通貨で電気代を支払える「さるぼぼコインプラン」を始めた。事業推進にも余念がない。
それでも、キャッシュレス化が急速に進む今、さるぼぼコインに大手企業の決済アプリが立ちはだかるのは必至。同信組は、コインのアプリを生活手段として利用拡大を図る方策を探る。7月19日に結んだ飛騨市との協定書には、行政情報を発信していくことを明記。8月にはアプリに搭載した全地球測位システム(GPS)を利用し、同市の防災情報の配信を始めた。
さるぼぼコインが採用するプラットフォーム「マネーイージー」は、木更津市のアクアコインなど、他地域の地域電子通貨でも使われており、「広がりによってはシステムが連結し、通貨同士がつながる可能性がある」(山腰専務理事)。
地域電子通貨が、エリアをまたいで普及する――。そんな青写真も絵空事ではなくなりそうだ。

今週はここまでとなります。
本文は月刊仮想通貨10月号vol.19に全て掲載されていますので、是非下記リンクにてお買い求めください。

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