2022.09.06
5日の米株式市場はレイバー・デー(労働者の日)のため休場であった。
一方、同日の欧州株はエネルギー危機の深刻化を受け、物価高騰と金融引き締め継続が懸念されたことから売りが先行した。ロシア国営天然ガス会社ガスプロム(Gasprom)が西欧向け主要パイプライン「ノルドストリーム」経由の供給を無期限で停止したことで、インフレの悪化と、各国の中央銀行がさらなる利上げに向かうとの懸念が広がった格好だ。これにより、ストック欧州600指数は下落した。
暗号資産(仮想通貨)市場でも価格を落とす銘柄が多く、ビットコイン(BTC)も揉み合いが続いている。
しかし、大型アップデート「マージ(The Marge)」を間近に控えたイーサリアム(ETH)は底堅く推移し、記事執筆時点では前日比約4.3%増の1630ドル(約23万円)まで上昇している状況だ。ビットコインもイーサリアムに続く形で一時2万ドル(約281万円)台まで上昇したが、記事執筆時点では再び1万9000ドル(約267万円)台まで下落している。
暗号資産データサイトのカイコ(Kaiko)によると、イーサリアム先物の建玉がこの1ヵ月で10%以上増加しているという。また、ビットコイン先物の建玉を上回っているようだ。イーサリアムとビットコインの先物市場の建玉のうち、イーサリアムの割合が8月1日の45%から現在は57%まで上昇しているという。
イーサリアムのアップデートが近づくにつれ、暗号資産取引所の対応も慌ただしくなってきている。
大手暗号資産取引所バイナンス(Binance)は5日、協定世界時6日午前2時(日本時間6日11時)からイーサリアムとラップドイーサリアム(WETH)の全ての入出金を停止すると発表した。
停止期間中にこれらのネットワークで行われたイーサリアムとラップドイーサリアムを入金しても反映されないため、注意が必要となる。入出金の停止はマージが完了するまで続く予定だ。なお、マージ実施でもバイナンスにおけるイーサリアムの取引は可能としている。
また、日本時間6日夜には重要指標である8月のISM非製造業景況指数が発表される。7月は56.7と上昇しており、8月予測は55.4とされている。
発表を受けて暗号資産市場にも何らかの影響が見られる可能性もあるため、注意が必要だ。
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