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ビットコイン法定通貨化から1ヶ月が経ったエルサルバドル、利用促進の動き続く

エルサルバドルのビットコイン法定通貨化に関する法律施行日の9月7日、5万ドル(約557万円)を推移していたビットコインは約18%、4万7000ドル(約523万円)まで下落し、波乱の幕開けとなった。あれからひと月が経ち、現在は再び5万ドルを突破している。

最初の急落時、同国のBukele(ブケレ)大統領は「押し目買いの機会をくれてありがとう」とツイートし、150BTC購入したことを発表。さらに20日、ビットコインが4万2000ドル(約466万円)を割るほど下落すると、ブケレ大統領は「価格の下落を受けて私たちは新たに150BTCを取得しました。これでエルサルバドルは700BTCを持つことになります。」とツイートし、押し目買いを行ったことを明かした。当初からビットコインを追加で購入していくことを明言していたブケレ大統領だが、その言葉に嘘偽りはなかったと言える。

エルサルバドルは経済の安定化などを目的に為替変動が少ない米ドルを法定通貨にしてきたが、今年6月、ビットコインを法定通貨とする法律を議会で可決。9月7日から運用を開始した。ブケレ大統領は国内におけるビットコインの浸透化へ様々な策を打ち出し実施している。

国民がビットコインを米ドルに換金できる「ビットコインATM」を各地に1500台新設した。換金のために1億5000万ドル(約165億円)の基金も設けた。

さらに、ビットコインを管理し、支払いなどに使う電子的な財布にあたるデジタルウォレット「Chivo」を開発。アプリをスマートフォンにダウンロードして登録すれば30ドル(約3,300円)相当のビットコインを付与すると発表。しかし、当初ダウンロードできたのは一部だけであった。トラブルに見舞われたものの、その後は復旧し問題なくダウンロードできるようになっている。さらにビットコインの支払いで1ガロンにつき0.20ドルの割引を受けられるようにすることを「国民のポケットにとってポジティブなニュース」として先月30日に発表した。

その反面、エルサルバドルではいまだ反対の意見を持つ国民も多い。その主な原因は乱高下する価格だ。

同大統領は出稼ぎのために外国に住む国民からの送金手数料が節約できる利点も強調しているが、ビットコインを使う国民はまだ少ない。Chivoをダウンロードして30ドル分のビットコインをもらったあとはアプリを削除する者もいるという。また、ビットコインに反対しデモを起こす国民もいる。

現在ビットコインは好調に推移しており、6万ドル(約667万円)を徐々に見据え始めている。価格の高騰が市民の信頼に直結するとは限らないが、世界でも初の試みを行っているだけに今後も多くの注目を集めるだろう。

画像:Shutterstock