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米議会上院がインフラ法案を可決 今後は下院で審議へ

米議会上院が10日、超党派のインフラ法案「HR3684」を可決した。

このインフラ法案は5500億ドル(約60兆円)の捻出を目標としており、財源の一部に暗号資産(仮想通貨)取引への課税が含まれていることで注目を集めている。暗号資産業界の一部では、この法案に修正が加わらなければ今後の技術革新に悪影響が及ぶ可能性も懸念されている。

今回可決された法案には、今後10年間で280億ドル(約3兆円)が暗号資産取引から徴税される計画が含まれている。法案に記載された暗号資産条項では、暗号資産取引のブローカー(仲介者)に対してユーザーが行った取引を米国内国歳入庁(IRS)に報告する義務を課すとされている。

今回問題となっているのは、法案内における「ブローカー」の定義が曖昧であるという点だ。

ブローカーに当たる事業者として、暗号資産取引所だけでなく、マイナーやバリデーター、またはソフトウェアの開発者までもが挙げられる可能性がある。現行の税務報告義務と比較すると、義務が課せられる範囲が拡大するため、非常に厳しい規制や監督が行われることが予想される。

また、マイナーやソフトウェア開発者がブローカーに該当するとしても、これらの事業者はユーザーの取引に関する情報を得られないという矛盾点も存在する。

このような背景から、暗号資産業界からは不明確な点が多いとして、法案に対し反対の意見が多く集まり、ロビー活動も行われていた。

暗号資産業界からの反対の声を受けて、一部の議員から修正案が提出されたが承認には至らず、米上院での法案の審議は終了した。そのため、インフラ法案の暗号資産条項に修正が加わるか否かは、今後の米下院の審議に委ねられることとなる。

米国に限らず、各国の暗号資産関連法案や規制には未だに不明瞭な部分が多い点が指摘されている。

今回のインフラ法案に関する議論が拡大し、今後どのような影響が見られるか注視する必要があるだろう。

画像:Shutterstock