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中国人民銀行がデジタル人民元のレポートを発表 約6,000億円相当の取引など明らかに

中国の中央銀行である中国人民銀行は16日、同国内で試験的に運用されているデジタル人民元の調査・開発進捗レポート(ホワイトペーパー)を発表した。

レポートによると、6月末時点でデジタル人民元を利用した取引総数は7,075万回にのぼり、取引総額は345億元(約5,854億円)に達した。またデジタル人民元のウォレットは、個人用で2087万以上、企業用で351万以上開設されたという。

さらに同レポートでは、デジタル人民元がスマートコントラクトに対応することが明らかになった。中国人民銀行は、「スマートコントラクトが(デジタル人民元の)金銭的機能を損なわないという前提の上で、安全性と法令遵守を守れる範囲内で」デジタル人民元をプログラミングできるとコメントした。

スマートコントラクトとは、一定の条件が満たされた際、自動的に契約が実行されるプログラムを指す。

中国人民銀行は、スマートコントラクト機能を備えたデジタル人民元なら、決済を自動化することができるとコメントしている。

また同レポートでは、デジタル人民元は「管理された匿名性」のもと運用されると明記された。管理された匿名性とは、一定の金額以下の決済は匿名で利用可能である一方、決済金額が大きい場合は資金の追跡が可能であるという仕組みだ。これは、多額の資金がマネーロンダリングなどの違法行為に活用されるのを防ぐための施策である。

他にも、デジタル人民元のウォレットは口座残高によって階層が分けられており、取引限度額などが決められているという特徴がある。国民は、個人情報を一切開示せずとも、「最下層」のウォレットは利用できるという。

中国ではビットコインマイニングの禁止や、暗号資産(仮想通貨)取引関連企業が閉鎖処分を受けるなど、急速的に暗号資産に対する締め付けが厳しくなっている状況だ。

その一方で、中国はデジタル人民元については積極的な姿勢を見せており、動きを加速させている。

中国は2022年に北京冬季オリンピックを控えており、そこでデジタル人民元の実証実験を行う予定もあるという。

画像:Shutterstock