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ドイツ取引所、スイスのCrypto Finance AGを買収へ デジタル資産事業拡大狙う

フランクフルト証券取引所を運営するドイツ取引所グループ(Deutsche Börse Group)は29日、スイス金融市場監督機構(FINMA)監督下にある金融グループで機関投資家や専門家の顧客にデジタル資産の取引、保管、投資を提供しているスイスの暗号資産(仮想通貨)企業Crypto Finance AGを買収することを発表した。

ドイツ取引所は、全株式の3分の2を取得する。残りの株式は、Crypto Finance AGのCEO兼創業者であるJan Brzezekを含む既存の投資家が保有し、引き続き事業の指揮・管理を行うという。

両社は規制当局の承認を経て、2021年第4四半期中に取引を完了する予定だ。なお、買収金額等の詳細は公表されていない。

今回の買収により、ドイツ取引所はカストディなどのサービスを含め、デジタル資産関連サービスを拡充する狙いがあるものとみられる。

Crypto Financeは2017年に設立し、2018年にFINMAから暗号資産企業として初めて資産運用のライセンスを取得。機関投資家などに対し、200銘柄以上の暗号資産の取引および仲介サービスを24時間365日提供している。

同社はドイツ取引所グループの一員となることで、事業をさらに拡大し、デジタル資産サービスの範囲を広げるとしている。またドイツ取引所は、自社の確立されたプラットフォームを通じて参加者がCrypto Financeが提供するサービスへ容易にアクセスできるようにする計画だという。

ドイツ取引所のトレーディング&クリアリング担当執行役員であるThomas Book氏は、「デジタル資産は金融業界に変革をもたらします。この新しいアセットクラスに積極的に参加しようとしている既存の金融機関からは、信頼できるパートナーを求める声が高まっています」とコメント。

さらに、「Crypto Financeがグループに加わることを大変嬉しく思います。このチームは戦略的に理想な存在であり、ヨーロッパの機関投資家のために、完全に規制された信頼できるデジタル資産のエコシステムを構築する上で、非常に役立つでしょう」と述べた。

一方、Crypto FinanceのCEO兼創設者であるJan Brzezek氏は「設立当初からの私たちの目標は、古い世界と新しい世界の架け橋となることでした。そのため、伝統的な金融市場のインフラにおいて信頼、評判、専門知識を提供してくれるドイツ取引所のような中立的なパートナーと提携できることに興奮しています」とコメントしている。

ドイツ取引所は今年4月、美術品や不動産などといった実物資産のトークン化と取引を可能にするマーケットプレイスの開発に向け、コメルツ銀行(Commerzbank)と共にベンチャー企業「360X」へ共同出資するなど、デジタル資産分野の拡大に向けた動きを強めている。

画像:Shutterstock