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2019年3月号-ティム・ドレイパー氏独占インタビュー

2019年1月21日(月)発売の月刊仮想通貨3月号Vol.12より

「私の新たな予想として、2022年または2023年までにビットコイン価格は20万、いや25万ドルになるでしょう」

 全てが始まったのは2004年で私が韓国にいた時です。私の周りでオンラインゲームの「ライネージ」が流行っていました。ある時、友人の息子が誕生日に「ライネージ」内で使うデジタル上の剣を欲しがりました。40ドルもするのです。私はこれをとても興味深く感じ、仮想の世界にも「人生」があるのだと思いました。そんな矢先にビットコインが登場したのです。
 分散型で、オープンで、無摩擦で、国境も関係なく、完ぺきな記録を残すこともできる。私はこれに感動し、コインラボという会社の支援を行いました。
 するとそのコインラボが私に「ビットコイン買ってみない?」と持ち掛けてきて25万ドル分を購入しました。
 資金を投入してから6カ月の間にビットコイン価格は4ドルから36ドルまで上昇し、稼いだビットコインを世界で最も大きな取引所であるマウントゴックスに保管していました。
 ご存知のようにマウントゴックスは流出事件を起こして私のビットコインも消え去ってしまいました。これが私にとって最初のビットコインイントロダクションであり、これでビットコインは終わりだと思いました。
 しかし下落は15パーセントにとどまり、その後、ビットコインの価格が上がり続けるにつれて、また購入を続けたのです。

 その後、私はコインベースに投資をしました。コインベースはアメリカ西部海岸のビットコイン企業で取引所や銀行など機関的なものを目指していました。
 私の息子のアダムと彼の会社であるブーストはいくらかのお金をコインベースに入れていました。後々私もコインベースに数回投資しました。そして次に起こったことは、私の息子のアダムのブーストという会社は促進剤でもあったのですが、ブーストが世界のビットコイン企業すべてをブーストに集結させたのです。おかげで私は当時の先駆的な企業に触れられました。

 次にイーサリアムとうまく付き合っていき、ビットコイン周りのスマートコントラクト技術にフォーカスをしていた時にジョールーピンに会いました。私が「アプリケーションに投資をしたい」というと、ジョーは彼らはただイーサリアムを買っているんだよと、興味なさそうでしたので、私は投資を断念しましたが、ジョーは私の言葉を受けて恐らく50くらいのイーサリアム周辺のアプリケーションに着手し成功したようでした。
 私が次に投資したICO はテザーとバンコールです。テザーはプルーフオブステークを採用しており、より速いコインになると思いました。バンコールはすべてのコインが参入できるマーケットプレイスを作り上げようとしていました。つまり誰もが持っているトークンを取引可能にするという事です。
 私はみんなが仮想通貨から少し離れかけているこの時期にユーティリティートークンを使うのは興味深いと思います。しかし同時に特定のものに注力すべきだとも思います。すべてが革新的に新たなテクノロジーなわけでもありませんし、素晴らしい経営陣やエンジニアがい
るわけではありません。なのでこのような低迷期には人々はトップの通貨であるビットコインにどうしても集まり、他のユーティリティートークンは居場所を失うのです。
 しかし、セキュリティートークンのようにドルやユーロなどに価格が固定されたトークンはそこまで大きくはならないと思います。ビットコインの価値はグローバルでどこでも受け入れられるという事です。しかし他の通貨に固定されていてはドルやユーロを使える国でしかビットコインも利用できなくなってしまうのです。

 ビットコインがドルなどと同じように使うことができるようになるのは時間の問題です。恐らく数年のうちにエンジニアたちが、簡単にスマホで使うことができスターバックスやイケアなどで簡単に支払いができる仕組みを作ってくれるでしょう。
 使い勝手が似ている2つの通貨があったとします。1つは政治勢力に密接に関わり、時にはインフレになりすぎたり、政治的な目的のために盗まれることもあり、クレジットカードでは手数料を2.5パーセントも払わなければならない通貨。もうひとつはビットコインです。こちらは無摩擦で、クレジットカードの10分の1、または100 分の1の手数料で使うことができ、ライトニングネットワークが実装されているので、のちにはクレジットカードよりも通信が速くなります。さらにどんな場所でも使うことができ、どの国にも送金でき、またマイクロペイメントにも対応しています。
 あなたならどちらの通貨を選ぶでしょうか?
 イーサリアムにはビも優れた技術があるのは事実です。しかし実際に起きていることというのは、もしある暗号通貨にとても通信が速くなる機能が付いた場合、ビットコインはそれを組み込むことができます。ビットコイン以外の通貨のエンジニアはたくさんいるので、新しいものが
開発されればそれを取り入れることができます。
 ビットコインは1秒間に7トランザクションしか処理することができないと危惧する人もいますが、ライトニングネットワークが実装されれば、1秒あたり700万トランザクションを処理することができ、それはクレジットカードよりも処理速度が速いということを意味します。
 これと同じことがマイクロソフトにありました。インターネットとソフトウェアの開発が進んでいた時に、マイクロソフトはいくつかのアプリケーションが有名になるのを待ち、それらと競合する形で類似製品を出したり、一部を買い取ったりしました。これらを繰り返し、マイクロソフトは、マイクロソフトよりも性能のよいスプレッドシートやワードプロセッサー、プレゼンテーションソフトなどがあったにもかかわらず、とても強固なポジショニングに成功しました。
 その間にグーグルやサーチ、ネットフリックス、エンターテインメントなど様々な革新的な技術を持ったものが登場しましたが、彼らは決してマイクロソフトに依存しているわけではありません。ビットコインも同じです。ビットコインも独占的なものになるでしょうが、それ以外にもネットフリックスやウーバー、グーグルといったような、ビットコイン以外の素晴らしい価値を持った製品が登場するでしょう。
私はビットコイン価格が低迷している今の時期の方がより発展を遂げるのではないかと考えています。この技術が影響を与える産業を考えてみると、銀行やコマース、金融、保険、不動産、ヘルスケアそして政府自身です。これらすべての異なる産業が影響を受けるのです。これらは1兆円規模の産業です。
 現在、ブロックチェーンが登場し、さまざまなビジネスの助けとなっています。
さらにブロックチェーンは直近のデータも保存することができます。
 現在、ビットコインのブロックチェーンはデータの移動には時間がかかりますが、現状を打破する日がいつか来るでしょう。またライトニングネットワークの実装によってビットコインのブロックチェーンは多くの産業にとって驚くほど価値のあるものに変わっていくでしょう。
 もし私がベンチャー企業への投資をビットコインで行ったとしたら、その企業は業者への支払いや給与などすべてビットコインで行うことができ、会計士が入る必要がなくなります。なぜなら必要な会計作業はすべてブロックチェーンで行うことができるのですから。スマートコントラクトにも同じような未来が待っていると感じており、将来的にスマートコントラクトで契約を結べば、弁護士がすることはほとんどなくなってしまうと思います。
 これは本当に大きなことになりそうで、政府はそのうち保険サービスをこのように仮想的に行うと予想しています。

(写真:ロイター/ アフロ)

Profile
◉Tim Draper(ティム・ドレイパー)
大手ベンチャーキャピタル会社Draper AssociatesとDFJの創設パートナー。インターネット製品を幾何学的に市場に広めるためにWebベースの電子メールでバイラルマーケティングを使用するというTimの最初の提案は、Hotmail、YahooMail、およびGmailの成功に尽力し、何千もの企業によって標準のマーケティング手法として採用された。起業家や自由市場の支持者として、Timは世界中の起業家会議の基調講演者として定期的に紹介され、数多くの賞や栄誉を経て彼の分野のリーダーとして認められており、テレビ、ラジオ等の出演も頻繁にある。100 人の最も影響力のあるハーバード同窓会のリスト入りし、フォーブスミダスリストの7人にも選ばれている。