2020.04.17
2019年10月号-ヤニスラフ・マラホフ氏独占インタビュー
2019年8月21日(水)発売の月刊仮想通貨10月号Vol.19より
〝ゴッドファーザー〟が語るæternityの今後
─æternityのアイディアとはそもそもどこから生まれたのですか?
「私は2011年にビットコインを知り、その未来に魅了されました。しかし、いくつかの問題が潜んでいることにも気がつきました。
1つはスケーラビリティ。1メガバイトのブロックでは支払いに関して、数百から数億のユーザーに対応できません。私はビットコインの分散型ネーミングサービスとIDサービスを有効にするBitAliasプロジェクトを立ち上げることにしました。
その作業中にVitalik Buterin(イーサリアム開発者)と出会いました。そして、Keidomというプロジェクトに協力したのです。Vitalikと私は毎日話をし、最終的に彼はイーサリアムを立ち上げました。私は個人的な理由で参加をしませんでしたが、その後もブロックチェーンの世界に深くかかわり続けました。
イーサリアムは優れていますが、ビットコインと同様に、適切に拡張するために作成されたものではありません。(普通に考えて)何十億ものユーザーからのすべての負荷をチェーン上に置くことはできません。さらに、ビットコインのようにイーサリアムはユーザーに対してよいケア(サポート)をしていませんでした。
私には完璧なブロックチェーンというビジョンがありました。そのため、私はæternityを立ち上げ、ブロックチェーンプラットフォームが大量採用に必要なすべての技術的機能をコアプロトコルに組み込みこむとにしました」
─æternityの他とは差別化してい
る特徴を教えてください。
「ブロックチェーンのトリレンマ(三重苦)を打破するために、æternityが開発されています。分散化は、ブロックチェーン技術が導入した基本的な革新で、セキュリティまたはスケーラビリティのために分散化を犠牲にしてはなりません。これは、大量採用、ネーミングシステム、実世界の情報にアクセスする方法(オラクル)、安全で効率的なスマートコントラクト言語(ソフィア)、高度な仮想マシン、(トランザクションおよびスマートコントラクトの実行用の)無限のスケーラビリティを可能にしたプロトコルが組み込まれたチャネルテクノロジーに必要なすべての機能を組み込んだスケーラブルな分散プラットフォームです。システムの中核はBitcoinNGです。これは、コーネル大学で開発された分散型コンセンサスメカニズムです。これにより、ビットコインでの戦闘テスト済みのナカモトコンセンサスが大幅に改善され、オンチェーントランザクションの速度が16倍速くなります。
また、Erlangをæternityのプログラミング言語として使用することを決定し、世界最高のErlangエンジニアたちをチームにむかえました。この業界で最も経験豊富なエンジニアリングチームのうちの1つが本当にうちにいます。
このような優れたチームと将来性のあるプロトコルを備えたプロジェクトは他にありません」
─取り組んでいる最もエキサイティングなツールは?
「昨年の11月にæternityのメインネットをローンチしてから、開発チームは2つの一般的なトラックに照準を合わせています。
ツールに関しては、forgAE、Playground、DocumentationHub、およびWebウォレットが、チームが現在取り組んでいる最もエキサイティングなプロジェクトだと思います。
ForagEは、スマートコントラクトの開発を非常に簡単にし、npmで利用できるフレームワークです。
Playgroundは、ステイトチャネルを使用するappのテスト環境として機能したり、すでにステイトチャネルを使用しているappを紹介するの
に使用できる便利なツールです。
最後に、MetaMaskと同様の機能を提供するために、æternity Webウォレットが開発されています。æternityプロトコルの技術スタック全体を利用します」
─5年後、æternityはどうなっていると予想しますか?
「私はæternityが永遠に続くことを期待しています。 このプロジェクトは、私と現在作業中のすべての人々より〝長生きする〟と信じています。 æternityはブロックチェーンの分野に大きな影響を与え、効率的な分散型アプリケーションを作成したい開発者や起業家にとって重要なプラットフォームになると思います」
(写真提供:TEAMZ)
Profile
◉Yanislav Malahov(ヤニスラフ・マラホフ)
まだイーサリアムプロジェクトに名前がついていない頃から関わりを持ち、Vitalik Buterinと共に開発。そのためイーサリアムの”God Father” と呼ばれている。ヤニスラフ・マラホフが創設し、開発の中心となった「æternity」は、2016年12月29日公開され、2017年5月29日からスタートしたICOでは37億円の資金調達にも成功をおさめた。