2021.04.08
スウェーデンの中央銀行Riksbank(リスクバンク)が、CBDCのパイロットプロジェクトの第1フェーズを完了させた。7日、Bloombergが報じた。
スウェーデンが開発中のCBDC(通称・e-krona)は昨年2月に実験を開始。大手コンサルタント会社のAccenture(アクセンチュア)と提携して、約1年を目処に効率的な方法でCBDCを実装する準備を分析すると発表していた。
第1フェーズでは、スウェーデン国内のCBDCの決済システムやネットワークを通じた流動性を分析した。またモバイルアプリの支払手段もシミュレートしたという。
分析の結果、リクスバンクはCBDCの技術開発にはさらなる調査が必要であり、スケーラビリティが大きなボトルネックになっていると指摘した。
またリスクバンクは、第2フェーズのパイロットプロジェクトが完了するのは2022年初頭、さらには2026年末まで試行を続ける余地があると報告。今後行われるCBDC研究の第2フェーズでは、e-kronaのリテール決済におけるパフォーマンスや保管方法などを検証する。またオフラインでの機能と既存のPOS端末との統合も実験するとのことだ。
リスクバンクはe-kronaの研究を2017年から開始している。この背景には、スウェーデン国内での現金の使用が減少していると同時に、民間の銀行、企業が提供するオンラインでの決済サービスが普及したことによって、金融政策で経済をコントロールする影響力が低下することを問題視していたことがあった。
スウェーデン国内における現金決済の利用率は20%と、現金を持たない生活に国民が慣れていることから、世界的にもデジタル通貨導入の障壁が低かったことも開発を積極的に後押しした。
Bloombergのアナリストは、「CBDCの使用用途として、小売り決済で現金を補完するものを導入するだけでは、経済に大きな変化をもたらしません。国境を越えた取引でホールセールのCBDCを使うことで、効率性を高める可能性があるでしょう」「CBDCのような新しいデジタルツールを政策目的で使用すれば、マクロ経済の舞台を大きく変えることができます。ステップが大きければ大きいほど、考えなければならない課題も多いでしょう。より完成したCBDCの開発に時間がかかるのは仕方ありません」と述べた。
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