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米バイデン政権、2023年度の予算案を発表 暗号資産による税収増狙う

米バイデン大統領は28日、2023会計年度(22年10月~23年9月)の予算教書を発表した。予算教書は、バイデン大統領が議会に提出する予算要求案で、予算案審議の基盤になるものだ。

2023年度の要求額は5兆7920億ドル(約718兆円)。国防費はロシアや中国の軍事対策として8133億ドル(約100兆円)と増加した。新たな増税を通じて歳入面の改善を図り、今後10年間で財政赤字を1兆ドル(約123兆円)以上圧縮させると述べている。

予算案の中では、暗号資産(仮想通貨)についても取り上げられている。

ホワイトハウスは、暗号資産市場で活発な取引が行われていることを踏まえ、さらに多くの税金を払う必要があるとの考えを鮮明に打ち出した。

予算教書では、「暗号資産税制などのルールを改正することで、今後10年間だけで110億ドル(約1兆3,500億円)の新たな歳入を見込む。2023年だけでも50億ドル(約6,170億円)の追加収入が見込めるだろう」と記されている。ルールを近代化させることで税収入が増えるという。

予測される税収入は、デジタル資産法を進化させた提案に基づくものだ。その大部分は、時価評価(Mark to Market)を多くのデジタル資産に拡大することで実現させることになる。

Mark to Marketとは、現在の市況を考慮した資産価値の評価方法だ。資産の購入時の価格を用いるのとは対照的に、公正市場価値よりも高い場合もあれば、低い場合もある。いわゆる含み益に対して課税するもので、例え暗号資産を売却せずとも税金を支払う義務が発生する。

これにより、2023年から2032年の課税年度の間に66億ドル(約8,150億円)の歳入が見込めるという。

また、このほかにも1億ドル(約123億円)の資産を持つ富裕層を対象に、所得と不動産等による含み益に対して最低20%の課税を施す法案が提案された。この動きは、バイデン大統領が就任時から意欲を見せていた政策の一環だと言える。

さらに、予算教書では暗号資産の悪用に対抗するためのプログラムの強化についても述べられた。

「暗号資産のグローバル的性質から、米国ユーザーが海外の暗号資産取引所やウォレットプロバイダーを使い、資産を隠して課税所得をごまかす可能性がある」と財務省は指摘。財務省は、暗号資産の報告義務を強化することで、今後10年間で22億ドル(約2,710億円)を徴収できると計算している。

加えて、財務省は「デジタル資産が脱税に使われる可能性を排除するため、納税者を特定し、自発的な納税を遵守させるため、第三者による情報報告が重要である」と記している。

画像:Shutterstock