2022.03.01
ビットコイン(BTC)などの暗号資産(仮想通貨)は、3月に入り取引で10%以上の上昇を見せた。記事執筆現在では4万3000ドル(約495万円)台を推移している。
ロシアに対し、SWIFT(国際銀行間通信協会)排除が決定的になったことで、同国の国民を含むルーブル所有者が暗号資産に資金を移動させたとの見方が広がっている。
先週はウクライナにおいて、ロシアの侵攻に伴い、ウクライナ国内の銀行の破綻を恐れた国民が暗号資産を購入したとされている。ウクライナの法定通貨とステーブルコインのテザー(USDT)の取引高が高水準となっていた。現在、ロシアにおいて同様のことが起こっている格好だ。
最強の制裁とも称されるSWIFTからの排除。SWIFTからロシアの銀行を排除する措置には日本も加わっている。
2012年3月、イランの核疑惑が浮上しSWIFT排除の制裁措置が執られた。結果、イラン経済のGDP成長率はマイナス7.4%まで陥り、深刻な状況となった。
ロシアの株式市場の代表的な株価指数であるRTS指数は一時50%もの下落を見せた。ロシアの法定通貨であるルーブルは暴落状態にあり、30%超安の1ドル=110ルーブルとなっている。Bloombergによれば、ロシア国内の金融機関は下落を見越し、1ドル=100ルーブルの為替レートを提示しているという。
さらに、ロシア中央銀行は政策金利を従来の9.5%から20%に引き上げる処置を執った。通貨安に伴うインフレ加速を抑えるための緊急利上げだ。この利率はアルゼンチンの42.5%の次に高く、トルコの14%を上回る。どちらの国もデフォルト危機に直面している国家だ。
ロシアには、SWIFTに代わるロシアが構築した「SPFS」があるが、2020年時点でロシア国内の決済の20%ほどの利用率に留まっており、経済を賄うためには不十分であると言える。ロイターによると、IIF(国際金融協会)はロシアが対外債権に対して、デフォルト(債務不履行)に陥る可能性は極めて高く、今年のロシア経済は2桁の縮小、同様にインフレ率は2桁になる見通しを発表したという。
このような状況下、国民や機関が暗号資産を購入している。SWIFTの排除が決定し、ルーブル建BTCの取引高が過去最高水準まで増加中であるという。調査会社のKaikoによれば、すでに取引高は15億ルーブル(約16億5,000万円)を超えている。また、テザー建でも13億ルーブル(約14億3,000万円)にまで取引高が急増しているという。
今年に入りS&P500などとの連動性が指摘されてきたビットコインが現在はリスクオフ資産としての動きを見せている。紛争が勃発したことで、暗号資産市場が活性化している格好となった。
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