2022.02.03
米メタ(Meta:旧Facebook)社が2日、2021年第4四半期の決算報告書を発表した。今回の決算報告の中で、同社のメタバース事業の財務内容が初めて公開され、2021年に大きく赤字を出していることが判明した。
メタ社の中で、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)などのメタバース事業を担当しているのは「Reality Labs」と呼ばれる部門で、2021年には102億ドル(約1兆1,600億円)を超える損失を出していることがわかった。同社は昨年10月に社名を「Facebook」から「Meta」に変更したことからも、今後メタバースへ注力していく姿勢を明らかにしていた。
また、メタ社のCEOを務めるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏はメタバース事業への移行にあたり、技術開発などで多額の投資が必要になるとの見通しを立てていたという背景もある。同氏は、Reality Labsの事業の黒字化はまだ先になるとの見解も示していた。
Reality Labsの2019年からの純損失の金額は次の通りだ。
同社のCFOであるDavid Wehner(デビット・ヴェーナー)氏は決算報告の中で、2022年も営業損失は「意義を持って増加し続ける」とコメントを残した。
Zuckerberg氏は、同社が2022年末までに高性能VRヘッドセットをリリースする計画や、同社から初のフルARグラス「Nazare」の開発も継続していくことを明らかにした。
さらに、同氏は「過去1年の間にリールやコマース、VRなどの数多くの重要な成長分野で進展があったことに勇気づけられている」とコメントし、今後もメタバースの構築を続けながら、これらの優先度の高い分野への投資も継続していく姿勢を見せた。
しかし、今回の決算報告を受けてメタ社の株価は一時23%以上下落するなど、市場からは芳しくない反応も見られた。
一方で、同社がメタバース事業に注力する姿勢を示してから、メタバースという分野に多くの注目が集まっている。そういった背景を踏まえれば、メタ社のメタバース事業の成果次第ではさらなる企業拡大も考えられるだろう。
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