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JVCEA、国内における新規銘柄の上場審査を緩和する可能性浮上

一般社団法人日本暗号資産取引業協会(JVCEA)が、日本国内の暗号資産(仮想通貨)取引所が申請し、新規銘柄を取扱う際に行う審査の簡略化を検討しているようだ。2日、Bloombergが報じた

現在、日本の暗号資産市場は1兆円規模に発展している。しかし、日本の暗号資産取引所で扱われている暗号資産の銘柄は20数種類と、海外の取引所と比べた際には非常に少ないのが実情だ。これは上場の際に厳しい審査が設けられていることも起因している。

Bloombergが報じたJVCEAが検討している新規制では、暗号資産取引所で今まで掛かっていた審査プロセスを経ずに、新規銘柄の上場が行えるようになるという。審議に関しては非公開だという。

現状、日本の暗号資産取引所が新規銘柄を上場させるには、厳しい手続きを経る必要がある。

まず、事業者(取引所)が新規銘柄上場銘柄の審査を実施。取引所が審査報告書を含む資料をJVCEAに提出する。自主規制規則に基づき、取引所が審査した内容を改めてJVCEAがチェックし、問題がないかを確認するなど、原則3段階を踏む必要がある。特に、JVCEAによるチェックは費用も取引所が負担し、完了するまでに少なくとも6ヵ月の時間を要するとされている。

JVCEAのチェックで不備が発覚した場合、それまでに労した費用と時間は大きなロスとなる。海外ではすでに取引が行われているのにも関わらず、日本では取り扱われていない銘柄が多々ある要因はこの厳格なプロセスにある。

このプロセスは消費者保護が目的であるが、国内取引所においては暗号資産の選択肢を幅広く提供できず、市場シェアを拡大していくことを困難にしている。JVCEAの会員の中にもこのプロセスが業界の成長を妨げていると不満を漏らす事業者もいるという。

昨年8月に日本でのサービスを始めたコインベース(Coinbase)は、米国では100銘柄以上の暗号資産を取り扱っているが、日本ではわずかに5銘柄だけにとどまっている。一方、コインチェックやGMOコインといった暗号資産取引所では17銘柄の暗号資産に対応していることをセールスポイントとしているが、それでも海外取引所に目を向ければ見劣り感は否めないだろう。

新規則案では、原則として国内取引所がすでに様々な取引所で取引されている人気の暗号資産を、長い審査プロセスを経ずに上場させることが可能になると関係者は述べている。

JVCEAのデータによれば、国内の暗号資産取引所の取引高は、昨年1月~11月に51%増加し、103兆円(9000億ドル)を記録するなど、2021年全体では1兆ドルに達するペースだ。しかし、国内では成長を続けている一方、世界の暗号資産市場において日本の存在感は薄れてきている。

画像:Shutterstock