2022.01.24
米バイデン政権が、暗号資産(仮想通貨)に関する大統領令を検討していることがわかった。
今後、数週間のうちに公表される見込みだという。早ければ来月にも発表される可能性がある。22日、Bloombergが報じた。
バイデン政権は、暗号資産を含むデジタル資産に関する政府全体の戦略を発表する準備を進めているようだ。報道によると、政権高官がこの計画について複数回会議を開いたことを明らかにしたという。
この大統領令では、暗号資産がもたらす経済的、規制的、国家安全保障的な課題を詳細に説明することが目的だという。
大統領令を通じて、様々な連邦政府機関に対し暗号資産のリスクと機会に関する評価を行うよう指示する。2022年後半には、調査結果の報告書が各政府機関より提出される予定だという。
また、バイデン政権は、米FRB(連邦準備制度理事会)による中央銀行デジタル通貨(CBDC)の発行についてもコメントを出す予定だ。
FRBは今月20日、デジタルドル発行に関する初の報告書を公表。「政府と議会の明確な支持がなければ発行計画を進めるつもりはない」と述べた上で、5月20日までパブリックコメントを募集する。
バイデン大統領が今回CBDCについて述べる背景には、米国がCBDCの分野で中国をはじめ様々な国と比べ遅れを取っていることがあるだろう。
特に中国が開発を進めているデジタル人民元が正式にローンチされた際には、世界の基軸通貨であるドルの優位性が損なわれるとの声も挙がっている。
こうした事情を考慮し、CBDCについて米政府としての立場を明確にすべきとの判断に至ったものとみられる。
バイデン大統領は就任以降、暗号資産に関する議論を積極的に進めている。
昨年11月には大規模インフラ投資法案を可決させ、暗号資産の課税体制を強化。その際に盛り込まれたブローカーの定義が曖昧である点を指摘されており、今回の大統領令を通じてこれらの課題を明確にする可能性も考えられる。
また、ステーブルコインの法整備は急務であるとの考えを示すなど、暗号資産の環境整備を念頭に本格的な動きを見せている。
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