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JCBA、ステーブルコインの取扱い目指し規律に関する提言を公表

JCBA(一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会)は、ステーブルコインの日本国内における取扱いを目指し、法的整理に関する研究を行っているステーブルコイン部会を中心に、11日に発表された『「金融審議会 資金決済ワーキング・グループ報告」を踏まえた、ステーブルコインに関する規律のあり方に対する提言』を公表した。提言書ではまず現状に対する課題を挙げている。

1ドル=1コインのように法定通貨と価格が連動するステーブルコインは、パーミッション型(発行者による特段の制限がなく、ブロックチェーン等を通じて不特定者の間で流通する)のものを主流に時価総額が主要銘柄で計7兆3,000億円を超えている。これらは230兆円の市場規模を持つ暗号資産(仮想通貨)の価格変動に対してリスクオフ資産・基軸通貨としての機能やNFT(非代替性トークン)など、ブロックチェーンを用いた新業態・ビジネスに用いられるなど様々な可能性を持つ。日本では法規制のもと、取扱うことができない。

JCBAのステーブルコイン部会では金融システムへの影響やAML/CFT(マネロン、テロ資金供与対策)に配慮し、研究を進めてきた。日本のガラパゴス化を防ぐためにもステーブルコインの国際競争力を活性化させる規律のあり方を提言することにしたという。

提案では、マネーロンダリング対策として「凍結処理など厳格措置の拙速な導入」「ブロックチェーン解析ツール等のイノベーション技術をAML/CFTに活用すること」を提案。

さらに、海外発行のステーブルコインの取扱い状況から、「デジタル資産市場へのアクセスを制限されている日本だけが市場から取り残される可能性がある」とし、「利用者からの金銭の預託については原則として禁止とあるが、即時性が求められる資金の精算や決済などステーブルコインを取り扱う仲介者のビジネスモデルを考えれば仲介者の利用者からの金銭の預託は必須」であると現状を説いた。

また、発行者に対する規律においては、「現状の銀行に限られてしまうことは過剰規制であり、新興テクノロジー企業のイノベーションの可能性を閉ざし、市場の競争原理の不健全性を招く。また、海外主要国の規制の同行を注視しつつ現行法上の『為替取引』の解釈に囚われない新法制度が望ましい」と述べた。

JCBAステーブルコイン部会は、日本国内においてステーブルコインの法的整備や資産性の判断といった業務的観点、価値安定のメカニズムに対する信頼の観点、利用者保護、AML/CFTの観点、発展などについて議論、研究を進めている部会。2020年7月に発足された。暗号資産業界事業者、金融機関、弁護士など39社の会員企業から69人が参加している。

画像:Shutterstock