2022.01.08
イーサリアム創設者のヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏は5日、昨年8月に実施された大型アップデート「London(ロンドン)」で実装した改善案「EIP-1559」に言及し、「多角的EIP-1559」と呼ばれるイーサリアムネットワークの新しい取引手数料(ガス)モデルを提案した。
現在、イーサリアムはスマートコントラクトなどを実行する際に用いる仮想マシン「Ethereum Virtual Machine(EVM)」において、様々なリソースの使用領域やブロックデータを効率的に処理できていないとヴィタリック氏は指摘。
具体的には、全てのリソースをガスという単一の多次元的なリソースにまとめることで、「最適ではないガス代が発生する点」に懸念を示した。つまり、本来であればイーサリアムネットワークを利用するユーザーが支払うガス代は安く済むにも関わらず、様々なリソースが重なることで、結果的に多くのガス代を支払うことになっているということだ。
こうした課題を解決するため、今回ヴィタリック氏は2つの改善案を提案。
1つ目は簡単な方法として、取引を実行する際のガスを固定にし、現行の手数料モデルであるEIP-1559を維持するもの。EVMでコードを実行する際に用いるデータ領域の1つ「calldata」をはじめとした特別なストレージを使用するリソースに対するガス代を、単一のリソースごとに基本料金を割って算出し、取引確認を優先的に行うための優先手数料はそのままにする仕組み。
2つ目はより複雑な方法だとし、リソースを使用するための基本料金をリソースの種類に応じて設定し、運用コストは使用する基本料金で割るという方法。ネットワーク上でブロックを生成するマイナーに支払われる優先手数料は、基本手数料にパーセンテージを加えたものになるという。
どちらを用いたとしても、新しい料金コンセプトでは、ガスがより最適に使用される公正な構造を作り出し、ユーザーはイーサリアムネットワークを使用する際に支払う手数料が抑えられるだろうとしている。
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