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イラン政府、電力不足で9月までマイニングを禁止

イランのHassan Rouhani大統領は26日、同国の国営放送で行なった演説で、暗号資産(仮想通貨)マイニングを今年9月22日まで禁止する方針を明かした。同日、Bloombergなどが報じた

報道によると、イランの首都であるテヘランや主要都市の1つであるシラーズなどで今月22~23日において、断続的な停電が発生した。

特にテヘランでは22日に計3回の停電が発生。同地域近郊で少なくとも2時間ほど停電したという。これにより主要都市の市内一部の交通機関が麻痺し、渋滞も発生したようだ。

これを受け、イラン電力当局はテヘランを中心とした主要都市で地域ごとに毎日2時間ずつ電力供給を制限することを直ちに決めた。

Rouhani大統領は26日に行なった演説で、マイニングも電力不足の要因として大きいと指摘。その上で、「ビットコインなどのエネルギーを大量に消費する暗号資産マイニングを約4ヶ月間禁止する。暗号資産マイニングの禁止は、9月22日までが有効である」と語った。

イランは数ヶ月、いくつかの大都市で幾度となく停電が発生していた。この要因としては、天然ガスの供給不足や水力発電所の機能低下に結びつく長期的な干ばつ、そしてビットコインのマイニングが挙げられている。

政府関係者によると、ビットコインマイニング業者によるエネルギー消費の85%はライセンスを持たずに運営している違法マイニング業者によるものだという。

政府は違法なビットコインマイニング業者の取り締まりを全国的に強化していた。その一方で、新型コロナウイルスによる自宅待機命令で電力需要が急増したため、合法的なビットコインマイニングファームの電力が一時的にカットされる事態に陥っていた。

イランの気温上昇に伴い、ここ数週間の電力消費量は非常に高く、一部の医療機関ではコロナワクチンの冷蔵保存施設を稼働させるのに苦労しているほどだという。

今回のRouhani大統領による発言は、来月に控えた同国の大統領選挙を意識したものと言える。一連の停電が批判につながり、選挙に悪影響を及ぼす可能性があることから、懸念材料を払拭したい狙いがあるものとみられる。

イランは米国のドナルド・トランプ前大統領が2015年に締結した複数国における核合意から離脱したため、2018年以降より経済制裁が行われており、同国経済は大きな打撃を受けた。

ブロックチェーン分析会社のElliptic社によると、ビットコインマイニングの約4.5%(1位は約70%の中国)がイランで行われている。

暗号資産マイニングで暗号資産を数億ドル相当得ることができるため、イラン政府は米ドルに頼らない貿易決済手段を促進していくことを狙いとしマイニング事業の国営化を目指している。そういった背景からイランでは暗号資産マイニングを受け入れる姿勢が見られており、安価な電力で国としても事業を後押しする代わりに、マイナーに対して報酬で得た暗号資産を中央銀行へ売却するよう求めていた。

画像:Shutterstock